「猫を何匹か一緒に飼いたいけど、多頭飼いをしても大丈夫なのか」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

せっかく新入りの猫をお迎えしても、先住猫とトラブルになってしまったら、悲しいですよね。

本記事では、猫を多頭飼いする時の注意点や、新入りの猫の迎え方について解説いたします。猫の多頭飼いを検討している方の参考になれば幸いです。

猫の多頭飼いはストレスの原因に

猫の多頭飼いはストレスの原因に

猫の多頭飼いは不可能ではありませんが、先住猫にとっても新入りの猫にとっても、ストレスの原因になりかねないことは把握しておきましょう。

猫は縄張り意識が強い動物です。

先住猫にとっての縄張りは家になるため、新入りの猫は「自分の縄張りに入ってきた猫」と認識し、警戒心を持ちます。

新入りの猫も周りの環境に慣れていないため、しばらくは不安な状態になるでしょう。

猫を多頭飼いする場合には、先住猫にも新入りの猫にもストレスがかかることを理解し、環境を整える必要があります。

猫を多頭飼いするメリット

猫を多頭飼いするメリット

猫が増えることは猫にとっても嬉しいポイントが3つあります。以下では、猫を多頭飼いするメリットについて解説します。

運動量が増える

猫を多頭飼いすると、猫の運動量が増えて健康的に良いことがメリットに挙げられます。

猫は本来、屋外で暮らす生き物ですが、屋外はウイルスの感染や事故につながる可能性があり、近年では室内飼いが主流となっています。

室内で猫を飼うと行動が制限されてしまうため、運動量は少なくなるでしょう。しかし、猫を多頭飼いすると、猫同士で追いかけっ子やじゃれ合いにより、1匹飼いよりも遊びの幅が広がります。

運動不足が促進すると肥満になり、ほかの病気にもなりやすいため、運動不足解消のためにも多頭飼いがいいでしょう。

留守番の際の寂しさが減少する

猫は単独行動を好む傾向にあり、留守番も得意な動物です。

しかし、室内で飼われている猫はご飯をくれたり、遊んだりしてもらえる飼い主様は大切な存在です。そのため、飼い主様が家からいなくなると寂しさを感じてしまいます。

飼い主様が留守の状態でも、他の猫がいれば寂しさが少なくなり、退屈することなく留守番できるでしょう。

社会性が身につく

多頭飼いすることにより、社会性が身につくというメリットが挙げられます。

猫同士が一緒に遊んだり、過ごしたりすると、他の猫との過ごし方や距離感を学んでいきます。結果、社会性が身につき、遊ぶ際の加減を覚えるようになるでしょう。

猫を多頭飼いするデメリット

猫を多頭飼いするデメリット

猫を多頭飼いすることはメリットだけでなくデメリットもあります。

メリットだけに目を向けるのではなく、猫を多頭飼いするデメリットについても事前に理解することが重要です。以下では、各デメリットについて解説します。

相性が悪いと喧嘩する

猫の多頭飼いは、猫同士の相性が悪ければ激しく喧嘩してしまいます。

相性が悪いと仲良くなることが困難となり、お互いにストレスがかかる生活を送らなければいけなくなります。

喧嘩することがあり、どうにかして仲良くさせたいと思っていても、猫に負担がかかる状態であれば、猫には無理をさせないようにしてください。

災害時に避難しにくくなる

猫を多頭飼いすると、災害時に避難しづらくなる可能性があります。1匹だけを飼うときに比べると、多頭飼いは避難の際に時間がかかってしまいます。

そのため、多頭飼いする場合は、事前に避難経路の確認や避難先の場所がペットに対応しているかどうかを確認しておくことが重要です。

災害時は緊急性が高く、猫にとっても人間にとっても不安な状態です。そのため、スムーズに避難できるようにするためにも、事前に避難経路や方法を確認しておきましょう。

猫を多頭飼いする際に必要なこと

猫を多頭飼いする際に必要なこと

猫を多頭飼いする際は、事前準備が重要です。

準備することにより先住猫のストレスも軽減され、新入りの猫も安心して過ごせる環境を整えられます。

迎え入れてから慌てないようにするためにも、多頭飼いする際に必要なことを確認しましょう。

飼育スペースを確保する

まずは、飼育スペースを確保するようにしましょう。

猫は単独行動を好む動物で、縄張り意識も強い傾向にあります。そのため、それぞれの猫に飼育スペースを確保することが重要です。

猫を2匹以上飼っても飼育スペースを十分に確保できるかどうかを事前に考えておきましょう。

また、猫がトイレできるスペースを置く必要があります。猫はきれい好きのため、ほかの猫のニオイがするトイレは嫌がるかもしれません。

兄弟猫の場合はトイレを共有しても問題ないこともありますが、トイレの数は猫の頭数プラス1個で考えておきましょう。

飼育に必要なお金や時間を確かめる

飼育する猫が多ければ多いほど、必要になるお金や時間も増えます。

猫同士が共有できる用品は意外と少なく、猫に合わせてフードや飼育用品を購入しなければいけません。

また、購入する用品だけでなく、医療費も高くなり、通院にかかる時間も増えます。そのため、猫を増やす際の費用や時間が十分確保できるかどうかを確認しておきましょう。

災害時の対応を考える

多頭飼いを考える際は、事前に災害時の対応を考えておきましょう。

災害時、猫が多いとどのようにして避難所に連れて行くかどうかが重要です。事前に災害時の対応について考えておいてください。

また、災害により飼い主様に万が一の場合があった場合、猫をどこに預けるかどうかについても併せて考えておきましょう。

避妊・去勢手術を行う

性別が異なる猫を多頭飼いする際は、事前に避妊・去勢手術を済ませておきましょう。猫は繁殖力が強い動物であるため、避妊・去勢手術を終わらせておかなければ、予想外の妊娠・出産をして、今後の飼育がより困難になる可能性があります。

猫が増えすぎてしまうと、より飼育が難しく、経済的にも負担がかかることもあるため、避妊・去勢手術は忘れずに行いましょう。

自治体に届け出を提出する

自治体により、10匹以上の猫を飼育する場合は届け出の提出が必須な場合があります。

住んでいる地域により異なるため、自治体のホームページで届け出の提出が必要か事前に調べることが重要です。また、自治体への届け出が必要な場合は、忘れずに提出するようにしてください。

ペット保険を見直す

猫を多頭飼いする場合は、ペット保険の見直しが必要です。ペット保険によっては、多頭飼い割引が利用できる可能性もあります。

契約する保険プランが多頭飼いに関する割引があるか、また、多頭飼いに対応しているプランかどうかを確認しておきましょう。

猫の多頭飼いに向いている人

猫の多頭飼いに向いている人

猫が好きでも、全員が多頭飼いできるわけではありません。

とりあえず猫を飼ってみて、やっぱり飼育は無理だったというわけにはいきません。以下では、猫の多頭飼いに向いている人の特徴について解説します。

経済的に余裕がある

猫を多頭飼いする場合、経済的に余裕があることが条件です。猫を飼育することはお金も時間もかかります。

たとえば、猫のエサやトイレの砂などの消耗品、病気になった場合の治療費やワクチン接種などの医療費なども、飼育している猫の数だけ必要です。

また、エサの準備や部屋の掃除などのお世話にかかる時間も必要になります。

そのため、多頭飼いにより生活が苦しくなったり、経済的負担によりストレスになったりしては、猫にも影響を及ぼします。多頭飼いする場合は、経済的に余裕があるかをしっかり確認しておきましょう。

家の広さや部屋数を確保できる

多頭飼いをする場合、猫同士を隔離できるように1匹につき1部屋ほどのスペースを確保できるようにしましょう。

ベッドやエサ、爪とぎなども共有するのではなく、1匹ごとに用意してあげる必要があります。

現在住んでいる部屋に十分なスペースがあったり、部屋数があったりする場合は、問題ありませんが、ない場合は引っ越しも視野に入れなければいけません。

狭い部屋で無理に多頭飼いすると、猫にストレスを与えることになるため、注意が必要です。

世話を頼める人がいる

出張や旅行により、部屋を数日間空ける必要がある場合に、お世話を頼める人がいるかも重要です。

親族や友人、知人に任せられるのであれば問題ありませんが、多頭飼いではお世話を断られる可能性も考えられます。

ペットホテルやペットシッターを利用することもできますが、多頭飼いの場合は頭数に応じて費用もかかります。そのため、事前にお世話を頼める人がいるかどうかも確認しておきましょう。

猫を多頭飼いする時の注意点

猫を多頭飼いする時の注意点

猫を多頭飼いする場合、相性や健康状態などへの配慮が必要です。

猫たちのストレスを軽減させるために、多頭飼いで注意すべきことは事前に把握しておきましょう。

猫同士の相性を確認する

猫を多頭飼いする場合、猫同士の相性が良いかどうか確認しましょう。

猫同士の相性が良ければ早くに良い関係を築くこともありますが、逆の可能性もあります。

相性が悪い場合、猫同士が喧嘩する可能性もあります。猫の歯や爪は鋭く、軽い喧嘩でも深い傷になり大変危険です。

猫にも性格や個性があるため、仲良くなれないこともあります。猫同士の相性がどうしても悪い場合は、居住スペースを完全に分けましょう。

猫の健康状態を常に意識する

猫の多頭飼いでは、猫たちの健康状態にも留意する必要があります。

新入りの猫を迎える前には、先住猫も含めて感染症やノミ・ダニ、寄生虫などの検査と、予防のためのワクチン接種を行いましょう。

感染症などを放置していると、猫同士で病気がうつる可能性があります。

また猫を複数飼う場合は、猫たちの食欲や排泄状況などの見落としも多くなりがちです。猫たちの普段の健康管理にも、今まで以上に気を配りましょう。

パーソナルスペースを広めに確保する

複数匹の猫を一緒に飼う場合、それぞれのパーソナルスペースを広く確保してあげることも重要です。

猫には「逃走距離」という、猫が互いに快適でいられる半径2メートルほどのテリトリーがあります。

2 メートル以上離れられるスペースを確保することで、猫同士がストレスを溜めすぎることなく過ごせます。

猫たちが自分だけの空間を作れるように、キャットタワーやトイレなども別々に用意することも効果的です。

猫同士を対面させる手順

猫同士を対面させる手順

新入りの猫をお迎えする時も、いきなり先住猫と対面させない方がよいでしょう。猫同士がより良い関係性を築くには、正しい手順で対面させることが重要です。

匂いがついたタオルを渡す

猫同士が対面する前に、各々の匂いがついたタオルを渡して匂いを交換させましょう。

対面した時のストレスやトラブルを避けるのに効果的です。

猫には「アロラビング」と呼ばれる、親しい仲間と互いの体をすりつけて匂いを交換する習性があります。

対面する猫の匂いがついたタオルを予め渡しておくことで、匂いの交換が促され、親しみを持ちやすくなります。

自分以外の猫がいる空間に慣れてもらうためにも、対面前に匂いを覚えさせてあげましょう。

別の部屋で過ごさせる

新入りの猫を家に迎え入れたら、はじめは必ず先住猫と別々の部屋で過ごさせてください。

猫同士が互いの存在に慣れていない内に対面させてしまうと、ストレスや相性などから喧嘩や威嚇などの敵対行動を取りかねません。

新入りの猫は新しい家の環境にも慣れていない状態のため、より一層ストレスをかけてしまいます。

はじめの1週間程度は別々の部屋で過ごさせ、徐々に猫同士を慣れさせていきましょう。

ケージ越しに対面させる

猫同士が互いの存在に慣れてきたら、ケージ越しで対面させましょう。

猫同士の相性が合わず喧嘩をする可能性もあるため、ゲージの外には出さずに様子を見ます。

猫が互いに傷つけ合わないよう、反応を注意深く見守ってあげてください。

対面のタイミングは、空腹時がおすすめです。両方の猫にご褒美のおやつをあげながら対面させると、互いに好印象を抱きやすくなります。

猫を多頭飼いする時に最適な環境

猫を多頭飼いする時に最適な環境

猫を多頭飼いする時には、猫たちが快適に過ごせる環境を整えることも必要です。猫にとってどのような環境が最適なのか、多頭飼いをする前に確認しましょう。

専用のトイレや食器を揃える

トイレやエサを入れる食器などは、猫1匹につき1つは揃えるようにしてください。くれぐれも共有にはしないようにしましょう。

トイレに関しては、猫の数より1つ多く用意するのがおすすめです。猫は相性の悪い猫が使ったトイレを使いたがりません。

余裕を持って、1匹ずつ専用のトイレを使える環境を整えましょう。エサを入れる食器も、1匹ずつ専用のものを用意してください。

猫によって最適なエサの種類や量が異なるうえに、猫の相性によってはエサをめぐって喧嘩になる可能性もあります。

衛生面も考慮すると、猫ごとに専用の食器を揃えるのが最適です。トイレもエサの食器も、はじめは別々の離れた場所に置いて様子を見守りましょう。

猫の動線を確保する

猫がトイレやご飯に行く時の動線をしっかり確保することも重要です。

トイレやご飯に行くための道が塞がれて通れないと、猫はトイレやご飯を我慢してしまいます。

ストレスや病気の原因になるため、動線は常に確保しましょう。

猫たちが自由にトイレやご飯に行けるよう、常に動線を複数確保できる配置が重要です。トイレやご飯の周りに障害物を置かないことも徹底してください。

高低差のある環境を作る

キャットタワーなどを利用して高低差のある環境を作ってあげるのも、猫を多頭飼いするうえで必要になります。

猫にとって、休息できる場所は必要不可欠です。

キャットタワーなどで高低差のある空間を作ってあげることで、猫が休憩に利用できる場所が広がり、より快適に過ごせる環境を整えられます。

猫たちがより自由にくつろげるよう、高低差を上手く利用して、使える空間を広げてあげましょう。

猫のご相談もCOCOペットまで

本記事では、猫を多頭飼いするうえで注意すべきことや、猫同士を対面させる手順、多頭飼いに最適な環境について解説してきました。

猫を複数匹一緒に飼うのであれば、猫同士仲良く心地よく過ごしてほしいですよね。

本記事を参考に、猫が快適に過ごせる環境を整えて、猫たちとの暮らしを楽しんでください。

また、こうして多くの飼い主様が家族のように大切に思っている猫たちも、いつか別れの時が訪れてしまいます。

悔いなくお別れするためには、生前の元気なうちから終活や葬儀について考えみてはいかがでしょうか。

ペットが元気なうちから、ペットの看取りや葬儀などをどうするのかを考えておくことで、後悔のない最期の時を過ごすことも可能です。悔いなくきちんとペットとお別れをすることは、その後のペットロスの緩和にもつながります。