愛犬がぐっすり寝ている姿は、飼い主様が癒される光景でもありますね。しかし、寝ている最中にピクピク手足を動かしたり、寝言を言ったりしていると気になることもあるでしょう。

今回は犬の寝方に着目し、それぞれの寝方によって犬がどのような心理状態にあるのかをお伝えします。また、病気などの可能性のある注意の必要な寝方や、そのような寝方を見つけた時に取るべき対処法も解説します。

犬にとって快適な睡眠環境についてもお伝えしますので参考にしてみてください。

犬の寝方をチェックして愛犬の気持ちや状態を知ろう

犬の寝方をチェックして愛犬の気持ちや状態を知ろう

はじめに、犬の寝方からわかる愛犬の気持ちや状態を、4タイプに分けて解説します。

犬の寝方1.仰向け

仰向けの寝方は、へそを上に向けていることから、よく「へそ天」と呼ばれています。「へそ天」は、急所のお腹を無防備にさらけ出しているため、警戒心がゼロで、非常にリラックスしている状態です。大人の野良犬などは、この寝方をすることがほとんどありません。

「へそ天」は飼い主様から見ても本当に愛らしく、安心しきってくれていることがわかる寝方です。ただし、お腹をさらけ出している寝方は、犬が暑さを感じている時にも見られます。室温を確認したり、犬の呼吸が荒くないかどうかなど、しっかり様子を観察しましょう。

犬の寝方2.横向き

足を投げ出して横向きに寝ている場合もリラックスしている状態です。犬にとっては、横向きの寝方はとても楽な姿勢です。横向きに寝ている場合は、熟睡していることが多いでしょう。

上で解説した「へそ天」は、犬の体格や性格によってはあまり見られないこともあり、飼い主様は自分に心を許してくれていないのではないかと気になることがあるかもしれません。横向きの寝方は、「へそ天」と同じくらい警戒心のない状態なので、犬が横向きで熟睡していれば、家や飼い主様に安心しきっていると言えます。

横向きの寝方は「へそ天」と同様、少し暑さを感じている場合にもみられます。室温などに注意を払いましょう。

犬の寝方3.うつ伏せ

うつ伏せの状態は、はすぐに立ち上がれる姿勢です。熟睡するのではなく、ウトウトとしていたり、一時的に休んでいる時によく見られる姿です。うつ伏せで寝ている犬は、飼い主様の立てる物音などをよく聞いていて、興味がある臭いや音がした場合はぱっと飛び起きますね。

何かに警戒している場合や、恐怖心を感じて緊張している場合もうつ伏せの姿勢を取ることが多いです。お迎えしたばかりの犬や保護犬などは、はじめはほとんどうつ伏せで寝ていることが多いです。焦らずに犬がリラックスできるまでゆっくり待ちましょう。

犬の寝方4.身体を丸めた状態

身体を丸めてドーナツのような姿になる状態は、犬の最も基本的な寝方のひとつです。この姿勢は犬だけでなく、ほとんどの動物で見られる寝姿で、身体を丸めることで急所のお腹や内臓を守れます。体を球体に近づけることで、表面積を一番小さくすることもできるため、体の熱を逃がさない寝方でもあります。

一般的によく見られる寝方ですが、手足をぎゅっと体の中にいれるほど丸まって身体を震わせていたり、目だけ開けて飼い主様に何かを訴えるような視線を送っている場合は非常に寒さを感じている場合があります。また、雷など何かの物音などをとても怖がっている可能性もあります。

犬の寝方によっては不調や病気を訴えているケースもある

犬の寝方によっては不調や病気を訴えているケースもある

犬の寝方を観察することで、体調の不調やなんらかの病気の発見につながることもあります。ここでは、注意が必要な犬の寝方についてお伝えします。

祈りのポーズをしている

「祈りのポーズ」と呼ばれる姿勢は、伏せの状態で前足を伸ばし、腰を上げて後ろ足を立たせた格好です。犬が遊びに誘う時に見せる「プレイバウ」にも近く、ストレッチをしているようにも見えるかもしれません。獣医領域では、「祈りのポーズ」は膵炎の犬に見られる典型的な姿勢として知られています。

祈りのポーズは、犬が非常に強い腹痛を感じているときにするとされています。内臓の圧迫を和らげることで腹痛を緩和させるとも言われています。犬がこの姿勢を取っている場合、緊急の治療が必要です。すぐに動物病院に連絡しましょう。

四肢を開いて横向きの寝方をしている

上でも少しお伝えしましたが、横向きの寝方は暑さを感じている場合にも見られます。四肢を開いていたりお腹も少し空気にさらそうとしている場合、呼吸が早い場合は暑がっている可能性が高いと言えます。落ち着かない様子で部屋の中やエアコンの下に移動する場合、暑さによる不快感から逃れようとしています。

特に、高齢犬や子犬、短頭種などは暑さにとても弱いため、犬が横向きに寝ているのに熟睡せずにそわそわとしていたら、室温の調節をしっかりと行いましょう。

寝ているのに激しく動くことがある

犬も人と同様、寝言を言ったり寝ている時に手足を動かすことがあります。特に、浅い眠りの「レム睡眠」のときには、手足や目をピクピクと動かすことが多いです。犬も夢を見ると言われており、夢の内容によって手足や口もよく動かすでしょう。

ただし、寝ている最中に、体のどこかを頻繁に何度も激しく動かす場合は、痙攣が起きていたり、脳神経になんらかの異常がある可能性も否定できません。気になる寝方をしていたら、動画を撮影するなどして獣医師に相談しましょう。

犬の寝方で不調や病気を疑ったら?対処法を知っておこう

犬の寝方で不調や病気を疑ったら?対処法を知っておこう

上では注意が必要な犬の寝方についてお伝えしました。ここでは、犬の寝方を観察して、体調不良や病気の可能性を感じた場合の対処法を解説します。

犬がしんどそうでも無理に起こさない

犬がしんどそうにしていたり苦しそうにしていると、心配のあまり起こしてあげたり、抱っこしたくなるでしょう。しかし、発作などの場合、触れたり抱きかかえることで悪化させることもあります。苦痛のために、飼い主様に噛みついてしまう犬もいるため、まずは犬に触れず、飼い主様が冷静になることが大切です。

発作が起きている場合は動画で撮影する

体中が激しく痙攣していたり、足をバタバタと動かしている場合は発作を起こしている可能性があります。飼い主様の感覚では、とても長い時間犬が苦しんでいるように見えますが、数秒から長くても2分程度で治まります。多くの場合、この発作によって犬が死んでしまう可能性は大変低いため、パニックにならずに、落ち着きましょう。

ほとんどの犬は、発作がおこったあとはケロリとしていることが多く、その状態で動物病院を訪れても診断が難しい場合があります。受診の際に役立てられるように、発作がおきたら動画撮影を行いましょう。発作の頻度や、タイミング、発作の起きている時間もメモをしているとより診断の際に役立ちます。

犬にとって快適な睡眠環境とは?

犬にとって快適な睡眠環境とは?

犬が快適に眠れる環境とはどのようなものでしょうか。快適な室内環境は、温度が20℃~25℃程度、湿度は50%~60%程度です。高齢犬や子犬、何らかの基礎疾患のある犬では少し高めが良く、若い健康な大型犬は少し低めが心地よいと感じます。

犬は薄暗くて狭い場所で安心できることが多いため、愛犬専用の寝床を用意すると良いでしょう。完全に家族と遮断された環境になると不安に感じる犬も多いため、リビングの隅など、家族の気配を感じる場所に設置すると犬がリラックスできます。

犬が過ごす部屋は、その部屋の中に温度差をつけておくと、犬が自分にとって一番気持ちの良い場所を選べるためお勧めです。例えば、窓際は風通しよく少し涼しめにしておき、ソファーの上は毛布を敷いて少し温かめにしておく、などの工夫で犬の選択肢が広がりより快適に眠ることができます。

寝床は夏場はスノコなどを利用して涼しく、冬は毛布やタオルなどを敷き詰めて温かくしておくなどの気遣いも大切です。

快適な睡眠は健康のポイント

犬の睡眠時間はおよそ13時間と言われており、寝ている時間が長い動物です。そのため、食事や運動と同様に、快適な睡眠は健康のためにも大切です。犬と一緒に寝ることは飼い主様の幸せな時間のひとつでもありますが、犬もひとりで寝たい時があります。犬専用の寝床も用意してあげると良いでしょう。今回の記事でもご紹介した通り、寝方で犬の心理状態や健康状態を把握することもできます。犬が寝ている時は、そっと見守り、異変を感じた場合は動物病院に相談しましょう。