愛犬と生活をする上で皆様にいつか訪れることが、愛犬とのお別れの日となります。
愛犬との最期を迎える前に飼い主様にできる準備や、犬の最期に見られる症状など知っておくことでお別れのときに安心して見送ることができます。
そこで今回の記事では、最期が近づいた犬が見せる症状や、飼い主様にできるケアや具体的な準備などについてお伝えします。

犬の平均寿命はどれくらい?

2022年度の「一般社団法人ペットフード協会」による「全国犬猫飼育実態調査」の結果では、犬の平均寿命は14.76歳でした。(https://petfood.or.jp/data/chart2022/6.pdf)
平均寿命は犬の体格によっても異なります。一般的に、小型犬より大型犬の方がやや寿命が短いと言えます。シニア期に入ると、色々な老化の兆候が出てくるため、飼い主様の細やかなケアが必要となります。

最期が近づいた犬が見せる症状

最期が近づくと犬にはどのような症状が出るのでしょうか。ここでは代表的な兆候をご紹介します。

食欲がなく、水を飲まなくなる

犬は年齢とともに徐々に食が細くなります。代謝の低下、噛む力や飲み込む力が弱くなることなどが原因です。フードをお湯や出し汁などでふやかしたり、ウェットフードに切り替えるなどの工夫で少しでも食べてもらいましょう。

最期の日が近づくと、犬は全く何も口にしなくなることがあります。無理に食べさせず、水分のみをスポイトなどで垂らして飲ませると良いでしょう。

寝ていることが多くなる

一般的に、犬は年齢と共に活動量が減り、寝ている時間が長くなります。体力が弱ってくると声をかけても全く起きないこともあります。
症状が進行すると、立ち上がることができなくなり、最悪寝たきりの状態に陥ってしまいます。寝たきりになってしまうと食欲の低下や内臓への負担もかかってしまうため、漏水の進行を促進させます。

排泄のコントロールができなくなる

高齢犬は、消化機能の低下により、下痢をおこしやすくなります。また、排泄に関わる肛門や膀胱などの筋肉も衰えるため、排泄のコントロールが上手にできず、寝たままの状態で便や尿が漏れることがあります。このような時は、お尻の下にペットシーツを敷きましょう。排泄後は蒸しタオルなどを使い、お尻まわりの清潔を保つことも大切です。

体温が下がる

最期を迎えるときは、体温が下がっていくことが一般的です。心拍が落ちて、血液の循環が減るからです。毛布などをかけてあげると良いでしょう。

痙攣をする

犬の最期のときには、痙攣や、足をバタバタ動かす「遊泳運動」などがみられることがあります。痙攣は無理に押さえず、クッションなどを利用して犬が周囲の物にぶつからないように注意しましょう。

呼吸が乱れる

最期が近づくと、ハアハアとした浅い呼吸になったり、深くゆっくりした呼吸になったり、普段と異なる呼吸の仕方になることがあります。 チェーンストークス呼吸と呼ばれる、長い無呼吸を挟む呼吸がみられる時は、まさにお別れの時が近づいています。

愛犬の最期にしてあげられること

悔いのない最期にするため、愛犬にはできる限りのことをしてあげたいですね。ここでは、愛犬の最期に飼い主様がしてあげられることを具体的にご紹介します。

一緒に過ごす時間をつくる

犬が安心して最期を迎えられるように、できる限り一緒に過ごす時間を作りましょう。納得できる看取りができると、飼い主様のペットロスの予防にもなります。

感謝の言葉を伝える

今まで一緒に過ごしてきてくれたことへの感謝を伝えましょう。実際に言葉に出して伝えると、犬は飼い主様の声を聞くことができて嬉しい気持ちになります。飼い主様自身の気持ちも穏やかになるでしょう。

たくさん撫でて抱っこしてあげる

犬は飼い主様の温もりや匂いをよく覚えています。体調をみながら、できる限り撫でてあげ抱っこなどのスキンシップを行いましょう。適度なスキンシップには、犬と飼い主様双方のストレスを取り除く効果もあります。

名前を呼んであげる

犬は大好きな飼い主様から名前を呼んでもらうと幸福を感じます。いつものように名前を呼んで話しかけましょう。

体を拭いてあげる

最期が近づくと、シャンプーなどが長期間できていないことも多いでしょう。蒸しタオルなどを利用して、体を拭くとさっぱりします。体を冷やさないように注意してくださいね。

体勢を変えて床ずれを防ぐ

寝たきりの犬の場合、こまめに体勢を変えて床ずれを防ぎましょう。優しく声をかけながら行うと、犬のストレスが軽減されます。

愛犬が好きだった人や友達に会いに来てもらう

最期が近づいたら、よく遊んだ友達や、犬をたくさんかわいがってくれた人に会いに来てもらいましょう。飼い主様がつらい気持ちでいる場合は、話を聞いてもらうことで見送るための心の準備ができることもあります。

愛犬を看取る「そのとき」に備えて

愛犬を看取るためには、あらかじめ準備をしておくことも大切です。いざ「そのとき」が来ても慌てずに済むよう、ご家族がいる場合には話し合っておきましょう。

やること/用意するものリストの作成

亡くなったあとは、手足を整えたり、ブラッシングなど体のお手入れをします。棺にドライアイスや保冷剤を入れて遺体を安置します。葬儀会社に連絡し、30日以内には保健所にも届けを出さなくてはなりません。

事前に、愛犬に合うサイズの棺や、ドライアイスや保冷剤、お花、愛犬の好きだったものなどを用意しておく人も増えてきております。亡くなったあと焦らないようにやることや用意する物品については、リストなど作成しておくといいでしょう。

延命治療の有無

犬の延命の方法としては、チューブによる栄養補給や酸素室の利用などが挙げられます。動物病院で最期を迎える可能性がある場合は、獣医師から心臓が止まったあとに蘇生を望むかどうかを聞かれることもあります。何をどこまで行うかをあらかじめ決めておきましょう。

看取る場所

犬を自宅で看取るのか、病院に任せるのかを決めましょう。 自宅で看取るメリットは、飼い主様がずっとそばにいてあげられることです。一方、犬の様子が変わった時に、飼い主様がうろたえてしまうかもしれないというデメリットがあります。 病院に任せるメリットは、最期までケアを受けることで犬の苦痛が最小限になる可能性があることです。しかし、最期の瞬間に立ち会えない可能性もあります。

埋葬の仕方と場所

どのようなセレモニーにしたいかを決めましょう。霊園や葬儀場を選び、どのような供養の方法にするかをご家族とも話し合いましょう。

ペットロスを乗り越えるためにできること

犬とお別れしたあと、飼い主様がペットロスに陥ることもあります。ここでは、ペットロスの予防やペットロスを乗り越えるためにできることをお伝えします。

後悔がペットロスにつながることもある

後悔はペットロスにつながりやすいと言われています。ちょっとした手抜きなどが、強い後悔となってペットロスを引き起こす可能性もあるため、犬の最期が近づいたら、できることを全力でやりましょう。悔いのない看取りが、ペットロスの予防となります。

ペットロスを克服するためには

ペットロスに陥ったら、無理に悲しい気持ちを隠さずに、思い切り泣いたり、信頼できる相手に話を聞いてもらいましょう。遺品の整理や葬儀を行い、ゆっくり気持ちの整理をつけていくと良いでしょう。

グリーフケアを活用し心のケアを

グリーフ(=悲嘆)ケアとは、は喪失感に寄り添いカウンセリングを行う医療のひとつです。グリーフケアを受けることもペットロスを乗り越える手段のひとつだと言えます。

悔いない最期のための準備を

今回は、最期が近づいた時にみられる犬の症状や、飼い主様がしてあげられること、具体的な準備などについて解説しました。愛犬が亡くなってしまうことは悲しいですが、悔いのない最期を迎えるためにも、しっかり準備をして毎日精一杯の愛情を注いで生活しましょう。