「庭に土葬するのは法律的に問題ないか」と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、ペット火葬に関する法律や正しい供養方法などについて解説します。ペットを正しい方法で見送るために、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
自分でペット火葬をするのは法律違反?
亡くなったペットを自分で火葬することは、法律違反です。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律に反する恐れがあります。残念なことにペットのご遺体は、法律上、一般廃棄物に値します。
そのため、廃棄物処理法により、自分で火葬することは禁じられているのです。
万が一自分で火葬してしまった場合は、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金が課せられます。
このように、ペットのご遺体を自分で火葬することは法律違反なため、必ずペット火葬業者へ依頼しましょう。
自分でペット火葬するのは難しい
ペットを自分で火葬すると悪臭を放ち、大気汚染の原因になります。悪臭が原因で近所迷惑になる場合も考えられます。
さらに、ペットを自分で火葬する際は温度調節が困難です。火葬業者でも経験が浅い業者の場合、ご遺骨が綺麗に残らない場合があります。
そのため、自分でペットを火葬してご遺骨をきれいに残すことはほとんど不可能なため、ペット火葬業者に依頼することが一番安全な手段です。
自治体に死亡届を提出しないと違法になる可能性がある
亡くなった際に死亡届を提出する必要があるペットがいます。
死亡届を提出しなければ後に法律違反となり、トラブルを引き起こす可能性も。以下では、死亡届の提出が必要な動物について解説します。
犬は死亡届が必要
家族に迎え入れるためには、狂犬病予防法により市区町村への登録申請が義務付けられています。
そのため、死亡した際も登録を削除するためにも届け出を提出しなければいけません。
死亡届は、犬を登録した市区町村で、亡くなってから30日以内に提出する必要があります。また、死亡届には鑑札と注射済み表が必要です。
自治体により届出用紙をダウンロードしたり、オンライン申請に対応していたりすることもあるため、事前にお住まいの地域の自治体に確認しておきましょう。
万が一、死亡届の提出を忘れてしまうと、「狂犬病予防法 第四条」により二十万円以下の罰金が課せられます。また、手続きをしなければ、狂犬病予防接種の案内が毎年届けられるため、登録抹消を行いましょう。
また、ペットがマイクロチップを装着しており、環境省のマイクロチップ登録サイト「犬と猫のマイクロチップ情報登録」に登録している場合は、サイトからの手続きだけで市区町村への届け出を提出する必要はありません。
犬以外に死亡届が必要な動物
犬以外でも死亡届の提出が求められる場合があります。
犬以外に死亡届を提出しないといけないのは、動物愛護法により「特定動物(危険動物)」に指定されている動物です。
死亡届の提出の対象となる動物は、トラ、くま、たか、ワニなどの計650種類の動物です。
上記の動物は、人に危害を与えたり、命を脅かす可能性があったりするため、飼育の際には届け出を提出しなければいけません。
また、同じように飼育をやめる際や亡くなった際には届け出が必要です。
しかし、特定動物は令和2年6月1日からペットとして飼うことは禁止されています。そのため、一般的にはあまり関係がないといえるでしょう。
その他のペットは死亡届が不要
犬や特定動物でないペットは、基本的に死亡届の提出は不要です。
小鳥や猫、ハムスター、モルモットなどの動物が亡くなった場合は、死亡届の提出は必要ありません。そのため、火葬を徹底してあげてください。
法律に準じたペット火葬方法
ペット火葬は、自分ですることを法律で禁じられています。そのため、法律に準じたペット火葬をする必要があります。
ペット斎場
ペット斎場は、想いに供養や法要が行われる場所で、中には火葬炉を備えているペット斎場もあります。火葬炉を備えているペット斎場の場合であれば、火葬してもらうことも可能です。
ペット斎場に備えられている火葬炉は、一般的に適切な規模で、資格を持つスタッフにより火葬が行われます。
また、ペット斎場では、飼い主様の希望に合わせて個別火葬と共同火葬のオプションが用意されています。さらに、ペット斎場には供養スペースが設けられることがほとんどで、火葬から供養まで一貫して依頼できることも特徴です。
火葬の手続きや相談も専門のスタッフにより行われているため、飼い主様が納得できる形で最後のお別れが行えるでしょう。
訪問火葬者
訪問火葬車は、火葬炉を搭載した車を指します。自宅までご遺体を迎えに来たら、駐車場や指定の場所などで火葬が行われます。
生前ペットが好きだった場所や家族全員で火葬に立会えるため、ペットにとっても飼い主様にとっても最適な火葬方法です。
また、訪問火葬車は、プライバシーを確保する点でも優れています。外部の施設での火葬は、ほかの飼い主との接触や見知らぬ場所で火葬してお別れしなければいけません。
しかし、訪問火葬車を利用すれば、自宅やペットと過ごした場所でお別れができます。
訪問火葬を依頼する際は、近隣の迷惑にならないように配慮することも重要です。事前に訪問火葬車でペット火葬することを近隣にも伝えておき、トラブルを未然に防ぎましょう。
法律に準ずるペットの供養方法
ペットの最期を見送る際は、法律に準ずる供養方法を行いましょう。自分でもできる供養方法は以下の3つです。
私有地で土葬
私有地への土葬は法律上問題ありません。
ご遺体の大きさにもよりますが、ご自宅の庭であれば埋葬可能です。また、自宅の庭であれば、頻繁に手を合わせて話しかけてあげられます。
庭への土葬は供養しやすい方法ですが、注意しなくてはいけないこともあります。
- におい
- 害獣
- 害虫
- 土壌汚染
- 水質汚染
供養しやすい分デメリットもあるため、事前にメリット・デメリットどちらも理解したうえで土葬することが大切です。
プランター葬
プランター葬は、私有地を持たなくても簡単に行える方法です。
しかし、小動物のご遺体でも土に還るまでは悪臭を放つ場合があります。また、臭いがあるプランターを庭やベランダに置くと、近隣問題や害獣発生に繋がります。
プランター葬を行う場合は、事前に場所や方法をよく確認しましょう。
自治体へ委託
お住まいの地域により方法は異なりますが、自治体でペットのご遺体を火葬してもらえます。しかし、ペットのご遺体は廃棄物として扱われ、ゴミと一緒に火葬されてしまう恐れがあります。
ゴミと一緒に火葬したくないとお考えの方は、火葬業者への依頼がおすすめです。
土葬により考えられるトラブル
土葬であれば、自宅でもできて法律にも触れません。しかし、上記でも述べたように、土葬にはデメリットがあります。
以下では、土葬により考えられるトラブルについて解説します。
異臭がする
動物を火葬しないと異臭がする場合があります。そもそも、動物が分解されて土に還るまでには膨大な時間を要することが一般的です。
そのため、土に還るまでの間は、腐敗が進む状態のため、異臭が発生します。地上から浅い場所に埋めていたり、石灰を撒いて防臭していなかったりする場合は、より異臭が目立つようになるでしょう。
また、異臭が現れると、近隣住民にも迷惑がかかってしまいます。亡くなったご遺体をそのまま土葬するのではなく、火葬後のご遺骨を埋葬すると、異臭のリスクは軽減できるでしょう。
害獣に荒らされる
ご遺体をそのまま土葬すると、害獣に荒らされる可能性が高まります。
もしご遺体から異臭が出ている場合、他の動物は匂いを察知して亡骸に集まり、ご遺体を掘り返してしまう恐れがあります。
また、ご遺体は腐敗により虫が湧くため、同様に近隣の迷惑になる恐れがあるでしょう。亡くなったペットのご遺体が掘り返されて、害獣に荒らされてしまうのは可哀想ですよね。
そのため、害獣が来ないように対策することが大切です。
土壌汚染や水質汚染
ご遺体をそのまま配管や水場の近くに土葬すると、土に還ることにより発生した物質が土壌に溶け込んで水質汚染を引き起こす可能性があります。
また、水質汚染だけでなく、ご遺体が土に還るまでの期間に腐敗が進むことにより、菌が繁殖して土壌汚染の可能性も高まります。
そのため、私有地でもあっても、公園や広場、河川の近く、森林では土葬を避けましょう。
土葬して、ご遺体が完全に土に還るまでは、数十年以上かかります。大切なペットが近隣に迷惑をかけることにならないためにも、土葬の際は注意してください。
合法でできる供養方法の流れ
合法でできる供養方法の流れについて、以下で解説します。
私有地への土葬の流れ
まずは、私有地で行う土葬です。具体的な方法について、以下で解説していきます。
土葬できるサイズか確認する
土葬できるサイズの動物かを確認しましょう。
ハムスターやハリネズミなどの小動物であれば、腐敗を外に漏らす危険性を抑えられます。
しかし、猫や犬は土葬には大きく、ご遺体が土の中で腐敗し、病原菌などによる腐敗臭が外に漏れ出すリスクが考えられます。さらに大きい動物の場合、ご遺骨になるまでに膨大な時間が必要です。
そのため、小さい動物の場合だけ土葬を考えるようにしましょう。
土葬しても問題がない場所か確認する
土葬の際、私有地であるか、また土葬しても問題ない場所であるか確認しましょう。
私有地でない場所や公共の場所で土葬すると、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により法律違反になります。私有地や許可を得ている所有地、土葬が許可されている地区で行いましょう。
また、私有地であればどこでもいいというわけでなく、異臭騒動が起こらないように近隣への配慮が必要です。
さらに、排水管やガス管がある場所に土葬してしまうと、水質汚染や環境汚染にも繋がります。そのため、事前に土葬する場所に問題がないか確認しておきましょう。
土葬する穴の深さを確かめる
ペットの大きさにより土葬の穴の深さは異なります。
穴を掘る際は、虫が発生しない、また腐敗臭や細菌が外までもれない深さまで掘りましょう。1〜2mの深さが理想ですが、困難な場合は専門業者に依頼すると良いでしょう。
また、ご遺体が外に出ていると、害獣により掘り起こされる恐れがあります。せっかく土葬したご遺体が天候の影響や害獣により荒らされないように、しっかりと埋葬してあげましょう。
ペットを土葬する
ペットを土葬する際は、専用のタオルでペットを包み、土がご遺体にかからないようにします。
また、腐敗進行と殺菌作用がある石灰をまいてから埋めましょう。どこに埋めたかわかりやすいように印をつけておくと頻繁に話しかけてあげられます。
プランター葬の流れ
プランター葬をする際の流れを解説します。
プランターを用意する
ペットのご遺体を入れるのに適したプランターを用意しましょう。
通気性を考えると、材質はプラスチック製よりも素焼きや陶磁器でできているものがおすすめです。プラスチック製のプランターは2〜3年程度の寿命であるため、長期で使用する際は強度が強い材質のものを選びましょう。
また、プランターの深さは、ペットの大きさの3〜5倍の深さがおすすめです。
最適な土を選ぶ
プランター葬に使う土は、庭や畑の土でも問題ありませんが、腐敗を早めてあげるためにも腐葉土を混ぜておくと良いでしょう。
また、埋葬の際に石灰を一緒に撒いておくと、腐敗の際に発生する有害物質を抑えてくれる殺菌効果があります。有機物の分解を促す作用もあるため、石灰を一緒に撒いておきましょう。
プランターに土をかける
ガーゼを敷いたらペットを安置して、さらに上からガーゼを被せて土をかけます。プランターの底には水受けを敷き、溜まった水は定期的に捨てる必要があります。
水を放置してしまうと、異臭を放ち、虫が発生する原因になり衛生面でもよくありません。プランターは定期的に掃除して、清潔に保ってあげましょう。
自治体へ依頼する流れ
自治体へ依頼する流れを解説します。
自治体に連絡する
自治体で火葬する際は、事前に予約が必要な場合が多いため、Webサイトや電話で予約方法を確認しましょう。
指定日時・場所にペットを運ぶ
指定日時・場所にペットを運びましょう。
ペットを指定の場所に運ぶ際は、ご遺体が傷つかないように布に包んでダンボールに入れると良いです。また、自治体により安置方法は指定されているため、事前に確認しておきましょう。
火葬業者へ委託する方法がおすすめ
安全にペットとお別れする際は火葬業者へ委託することがおすすめです。以下で、火葬業者の火葬方法を解説します。
一任個別火葬
一任個別火葬は、火葬業者に火葬からお骨上げまで任せる方法です。
すべての工程を業者に任せるため、火葬時はご家族が立会うことはできません。また、ご遺骨はその後返却され、供養するかどうかも選択できます。
トラブルを防ぐためにも、火葬業者にどのような方法で火葬が行われるか確認しておきましょう。
立会い個別火葬
立会い個別火葬は、家族で見守りながら火葬する方法です。
火葬前に、ペットとお別れできる時間が設けられるため、お別れの言葉をかけてあげられます。また、火葬後にはお骨上げとご遺骨の引き取りが可能です。
最後までペットのそばでお別れができる火葬方法のため、多くの人から選ばれている方法です。
合同火葬
合同火葬は、他のペットと一緒に火葬する方法です。
火葬に立会うことはできず、他のペットと火葬するためお骨上げもできません。ペットのご遺骨をご返骨してほしいとお考えの方には向いていないでしょう。
しかし、ほかのペットと一緒に火葬と埋葬してあげられることから、天国でも友だちと楽しく過ごせるようにしてあげたいとお考えの方に合同火葬がおすすめです。
ペット火葬後の供養方法
ペット火葬後は、ペットのご遺骨を飼い主様のご要望に合わせて供養してあげましょう。一般的に行われる供養方法は以下のとおりです。
手元供養
手元供養は、ペットのご遺骨を手元において供養する方法です。
ペット火葬後に返骨されたご遺骨を骨壷に収骨し、ペット用の祭壇に設置して供養します。また、近年では、祭壇の他にもご遺骨を納められるペンダントやアクセサリーが販売されており、ご遺骨を持ち歩くことも可能です。
キーホルダーなどであれば1,000円台から購入できるなど、予算に合わせて自由に供養できる点でもメリットに挙げられます。
納骨堂に納める
ペット納骨堂は、ペットのご遺骨を屋内で供養できる施設です。
骨壷を納骨棚に設置し、スペース内であれば写真やおやつなど自由に飾り付けしてあげられます。墓石などを購入しなくても小さいスペースでご遺骨を保管できるため、費用も抑えられるでしょう。
また、供養方法が具体的に決まっていないという場合も、納骨堂で一度納めてから供養方法を考えられます。
ペット納骨堂によりプランや費用は異なるため、事前に確認しておきましょう。
お墓に埋葬する
お墓にも個別墓と合同墓から選択して供養してあげられます。
個別墓の場合、個別でペットを埋葬してあげられますが、墓石の購入やお墓を建てる場所の維持費が高額になりがちです。
霊園で永久供養してもらう際は、お墓を管理する必要はありませんが、定期的にお参りしてあげるとペットも喜ぶでしょう。
一方で、合同墓はほかのペットと一緒に埋葬される方法です。合同火葬の場合は、合同墓に納骨されることがほとんどです。
ほかのペットと一緒に火葬するため、墓石や維持費などの費用を抑えて利用できます。定期的にお参りをするのが難しいという飼い主様でも、ほかのペットと一緒に埋葬されているとペットも寂しくならずに安心です。
散骨する
散骨は、ペットのご遺骨を粉状にして海や森に還す自然葬です。散骨は自然に還りやすい状態になるため、ペットを自然に還してあげたいとお考えの飼い主様に最適な方法です。
しかし、公共の場所や禁止されている場所で散骨してはいけません。万が一、散骨してしまうとトラブルに発展するため、必ず許可がおりている場所で行いましょう。
また、散骨はペットのご遺骨を粉状に砕いてから行います。そのため、ご遺骨が手元に残ることはありません。
一度粉骨してしまうと元の状態に戻すことはできないため、手元にご遺骨を残しておきたいという方は、ご遺骨の一部を残す分骨を行った上で散骨しましょう。
法律違反にならない正しい方法でペット火葬をする
本記事では、ペット火葬で法律違反になる方法や合法で供養する方法など解説しました。
結論、自分で火葬をすると、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により法律違反になります。法律に触れずに正しく見送るためにも、ペットを火葬する際はペット火葬業者に委託しましょう。
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