「ペットの供養はお寺でやりたい」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

家族の一員として共に過ごしてきたペットが亡くなることは、とてもつらいことです。愛情をいっぱい注いできた分、強い喪失感に襲われることもあるでしょう。ペットの葬儀や供養は、飼い主の気持ちを整理するためにも大切な儀式です。

本記事では、お寺で供養する場合のメリットや注意点などを解説します。お寺で火葬ができるのか、納骨できるのかなど、疑問に思っていることについて触れるため、大切なペットの供養や納骨方法で迷っているなら、ぜひ、参考にしてみてください。

ペットの供養はお寺に頼める

ペットの供養は、お寺でも承っています。ただし、すべてのお寺でペット供養を行っているわけではありません。

もしお寺での供養を考えているなら、まずはペットの葬儀が可能かどうかを事前に確認をすると安心です。

最近では、ペット葬儀業者がお寺と提携を結んでいるケースもあります。ペットにお経をあげてもらいたい場合は、ペット葬儀業者にプランを尋ねてみるのもいいでしょう。

お寺でペット供養をしたいときは

仏教思想から動物の供養ができないケースがあります。宗派により、考えが違うため、いくつか候補をあげて探してみるといいでしょう。

また、経済的な問題や設備的な問題などから対応できないお寺もあります。ペット専用の墓地がない、火葬施設がないなど、様々な理由から断るお寺もあるのです。

同じ宗派の他のお寺ではOKでも、住職の考え一つで”NO”と言われる可能性もゼロではありません。逆に、愛犬家の住職なら、思いを汲んで対応してくれるかもしれません。

ペット供養を依頼する際には、事前にお寺のホームページなどを検索し、動物の供養に対応しているかを調べましょう。また、電話等で問合せてみるのもいいです。口コミなどを探してみるのも役に立つかもしれません。

ペットをお寺で供養する場合の供養方法

ペットをお寺で供養する場合の供養方法

お寺でのペット供養は大きく分けて、お寺の納骨堂へ納骨するか、霊園にお墓を建てるかの2つに分けられます。以下で、2つの供養方法について解説します。

お寺の納骨堂へ納骨

ペットのお墓を立てずに、納骨堂で供養する方法です。納骨堂にお骨を納めると、天候に関係なくペットに手を合わせられます。また、管理をお寺側が行ってくれるため、手間がかからないことも利点です。

霊園にお墓を建てる

人間の供養と同様にお墓を建てることも可能です。個別でお墓を立てたり、共同墓地に埋葬したりできます。共同墓地に埋葬すると、お骨を取り出すことができなくなるため、注意しましょう。

また、飼い主様の死後、ペットと一緒のお墓に入れてもらうことも可能です。事前に他の家族とも話し合いましょう。

ペットをお寺で供養する費用

ペットをお寺で供養する費用

供養方法を選ぶ際に、費用は大きな指標になりますよね。以下ではお寺で供養する際にかかる費用についてご紹介します。

ご自身の予算と照らし合わせて選択しましょう。

お寺で納骨する場合の費用

納骨にかかる費用は以下の通りです。

種類費用相場
個別墓300,000〜2,000,000円
合祀墓10,000〜30,000円

個別墓の場合、地価やお墓の大きさにより費用が大幅に変動します。対して合祀墓はすでにあるお墓に、他のご遺骨と一緒に納骨されるため、比較的費用が安価です。

お寺によっては、火葬直後の納骨であれば合祀墓の費用を免除してくれる場所もあります。納骨を依頼する前に見積もりを依頼すると、トラブルが起こりづらいです。

お寺で火葬する場合の費用

お寺での火葬は、ペット火葬業者と比較するとやや高額な傾向にあります。以下はお寺での火葬の費用相場を示しています。

合同火葬  個別火葬立会い個別火葬
小動物8,000~20,000円20,000〜30,000円30,000~50,000円
 小型16,000~24,000円30,000~40,000円30,000~60,000円
中型20,000~30,000円30,000~60,000円40,000~80,000円
大型40,000円50,000~80,000円70,000~80,000円

お寺での火葬について、場所ごとに含まれている内容が異なり、読経や合祀墓への納骨が含まれている場合もあります。費用面で悩んでいる方は、ペット火葬業者や複数のお寺で相見積もりを取り、総額の費用で場所を決めるようにしましょう。

ペットをお寺で供養をするメリット

そもそもお寺で供養することに、どんなメリットがあるのでしょうか。ここでは二つのメリットを紹介します。

人と同じように納骨できる

ひとつ目のメリットとしては、人と同じように葬儀をし、納骨できるという点です。ペットだけが別の方法で葬儀をしたり、納骨したりすることなく、他の故人と一緒に同じ場所にいられるのは幸せともいえます。

家族であれば同じお墓に入り、できるだけ傍にいたいと思うのは当然のことです。同じお寺で法要され、供養されることは、絆を大切にする意味でもメリットがあります。

 普段からお墓参りをしたり、法要をしたり、お寺での供養が当たり前と感じる人にとっては「ペットも同じように供養したい」と考えるのは自然です。

家族が亡くなったとき、たった一人だけが別の手段で葬儀をしたり、お墓に入れなかったりすれば違和感を覚えるでしょう。

心の整理がつきやすくなる

お寺できちんと供養をしてもらうと心の整理がつきやすくなります。お経をあげてもらうことでペットを失った強い悲しみにも整理がつきやすくなるでしょう。

ペットが亡くなった喪失感を長く引きずってしまうと「ペットロス症候群」と呼ばれる状態に陥ることもあります。

ペットロス症候群は、ペットの死に向き合うことができず、悲しみに暮れて仕事や生活に支障が出ることもあり、暮らしに大きな影響を与えるものです。

お寺で供養をすると、定期的に法要をしたり、お墓参りをしたりするのが習慣になります。亡きペットとの適度な関わりが、重度のペットロスに陥るのを防いでくれるかもしれません。

ペットをお寺で供養をするデメリット

お寺でのペット供養には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。納骨堂の利用には管理費用が掛かり、合祀になる場合は他のペットと共同供養になることは覚えておきましょう。

納骨堂の管理費用など費用がかかる

お寺で供養をする場合、合同で供養するか個別で供養するかで、費用が大きく変わります。個別で供養する際は、年間の管理費用や墓石を立てる費用など、費用が高くなるでしょう。

お寺の立地や墓石の大きさなどにより、費用が変わります。お寺によっては、別途年間費用が掛かる場合もあるので、事前にしっかりと確認をすることが大切です。

家族からの理解を得られないことも

お寺でペット供養をする家族は増えてきていますが、いまだに抵抗感を持つ方も少なくありません。ペットと同じ墓に入ることは日本の法律上は問題ありませんが、お寺により様々なルールがあります。宗教上、禁止しているお寺もあります。

仏教の解釈は人や宗派により異なるため、お寺でのペット供養をしたい場合は家族への合意を必ず取りましょう。

お寺で供養するときの注意点

お寺での供養はやや特殊であるため、検討される方は予め注意点を確認しておきましょう。以下では主な注意点について2つご紹介します。

ペット火葬が対応しているお寺を探す

お寺で供養したい場合、まずはペット供養を承っているお寺を探しましょう。全てのお寺でペット供養を行っているわけではないためです。

仏教のなかで、動物は「畜生」という世界で生きているものと言われています。前世で悪い行いをした人間が動物に生まれ変わり、弱肉強食の世界で生きることを強いられている状態です。

上記の仏教の思想から、動物は供養や抱擁する必要がないと考えられていました。しかし、近年ではペットを家族の一員であると考える人がほとんどであるため、お寺での供養を依頼する人が急増しました。

ニーズに応える形で、お寺でもペットの供養を始めたというわけです。全てのお寺で供養を始めたわけではないため、予め複数のお寺の目星をつけておきましょう。

サービスの範囲を確認する

またお寺ごとに火葬や供養のプランは異なります。特に受けられるサービスの範囲には注意が必要です。火葬しか行っていないお寺もあれば、供養から読経までプランに含まれている場合もあります。

内容についてはホームページで確認できる場合もありますが、直接問い合わせるのが確実です。見積もり費用と内容については念入りに確認し、追加オプションにも十分注意しましょう。

ペット火葬業者とお寺の違い

以下ではペット火葬業者とお寺での火葬や供養内容の違いについて解説いたします。ペットの火葬や供養について、どちらが正解というものはありません。

それぞれの違いや特徴を理解した上で、飼い主様やご家族の希望に沿うものを選ぶようにしましょう。

火葬プランの違い

ペット火葬業者では複数のプランを用意していることがほとんどです。対してお寺の場合は、プランが少ない傾向にあります。

お寺ごとに費用やプランの内容も異なるため、それぞれ確認しましょう。飼い主様のご希望やご予算に合わせてプランを選択できる点が、ペット火葬業者の魅力です。

また、ペット火葬業者の火葬は移動火葬車にて行われるのに対し、お寺では併設されている火葬場にて火葬を行います。移動火葬車は家の前まで伺うため、飼い主様やペットのご遺体の移動が不要です。

しかし、お寺の場合はご遺体をお寺まで運ぶ必要があります。小型動物の場合は大きな負担になりませんが、大型動物の場合は注意が必要です。運搬業者を別途依頼するか、送迎付きのプランがあるお寺を探しましょう。

火葬後の供養について

ペット火葬業者では、基本的に供養はプランに含まれていません。対して、お寺ではそのまま納骨から読経まで依頼できます。

ペット火葬業者は、プランによりご遺骨を返却しますが、供養は別途他の業者へ依頼することやご自身で準備をする必要があります。対してお寺ではそのままお墓や納骨堂への納骨が可能です。

面倒な手続きを避けたい方は、お寺に依頼すると1回の見積もりや申し込みで手続きを完了できます。

さらにお寺によっては住職による読経をしてもらえます。月に1回のお寺もあれば、毎日行っているお寺もあるため、ペットを読経により丁寧に弔いたい方にはおすすめです。

ペット葬儀業者はペット葬儀のプロ

ペットの葬儀に慣れているのは、ペット専門の葬儀業者です。お寺は人間の葬儀には慣れているかもしれませんが、ペット葬儀の経験は少ないでしょう。

ペット葬儀業者のメリットは、そのスムーズさ。葬儀をしたいと依頼すれば、葬儀、火葬、納骨など、希望したとおりに取り計らってくれます。

どうしても読経が必要なら、提携しているお寺があれば、お経をあげてもらうことも可能です。

行き届いた細やかな対応

ペット葬儀業者の魅力の一つに、遺体の扱い方があります。人間でいうところの「おくりびと」のように、ペット葬儀業者は動物の遺体の扱いにも慣れているのです。

ペットの遺体の安置は人間の安置とは違い、動物の種類、大きさにより対応を変えなければいけません。ペット葬儀業者は、動物の遺体の取り扱いに慣れているため、安心して任せることができます。

実際にペット葬儀業者を利用した人の中には、細やかな対応に感動したという人も少なくありません。「飼い主の自分と同じように、愛犬のことを大切に思ってくれた」という人もいて、その対応はプロとしかあらわしようがありません。

自分の大切な愛犬や愛猫を、同じように大切に扱ってほしいと思うなら、飼い主の要望に応えようと工夫を凝らし、亡くなったペットと飼い主の最後の時間をより良いものにしようと尽くしてくれる、ペット葬儀業者を選ぶといいかもしれません。

お寺は仏教における供養のプロ

お寺のサービスは、供養が中心です。お寺は仏教における供養のプロであるため、供養以外の部分での細やかさは、ペット葬儀業者と比べると差を感じる可能性はあります。どのように供養を行うのか、不安なことや気になることは細かく尋ねると後悔がないでしょう。

お寺は、本格的な供養をしてもらいたい場合におすすめの場所です。年季の入った住職のお経でペットを送りたいなら、迷わずお寺を選びましょう。

中には、お経だけあげてもらいたいと考える人もいるかもしれませんが、他所で火葬した遺骨は引き取ってもらえないケースもあります。お寺によりサービスの内容は異なるため、お寺に供養を依頼する際には、逐一確認を取っておくと安心です。

住職のお経で弔いたい場合は、お寺以上にいい場所はありません。しかし、お寺での供養にこだわらないなら、お寺以外の業者に依頼してもいいでしょう。ペット葬儀において何を優先するのか、比較して検討するようにしてください。

近くのお寺で供養ができない場合

近くのお寺でペットの供養ができない場合があるかもしれません。その際は、火葬だけでも先に行い、供養する必要があります。遺体は時間が経つほど腐敗し、キレイに保つことが難しいからです。

ペット専用の火葬場は、ペット霊園などに併設されているケースが多いです。しかし、亡くなったペットの遺体を運び出すのは簡単ではありません。車がない、高齢者一人で暮らしているなど、個々の事情により供養ができないケースもあるでしょう。

このようなときに便利なのが、出張火葬のサービスです。移動式火葬車が自宅まで訪問してくれるため、遺体を運び出せない人でも安心して利用できます。

お寺以外での供養方法

お寺以外での供養方法

お寺の納骨堂やお墓で供養する方法もあります。しかし、他の場所でも供養は可能です。 以下では、お墓以外の供養方法についてご紹介します。

手元供養

ご遺骨を骨壷に入れて、自宅で供養する方法です。ペットを身近に感じ、生前ペットがお気に入りだった場所で供養できます。家族が過ごすリビングや風通しの良い縁側などを選んで、ペットを供養してあげましょう。

注意点は骨壺での管理方法です。骨壷に入れたお骨はカビが繁殖しやすいかもしれません。水回りの近くを避けて、骨壷に除湿剤を入れておくなどの対策をしましょう。

手元供養を行った後にお寺への納骨も可能なため、心の整理をつけたい方におすすめの方法です。

散骨

ペットのお骨をパウダー状に加工し、ペットとの思い出の場所で散骨しましょう。海に散骨する海洋散骨も近年増えている供養方法です。

ペットのお骨を自然に還してあげたいと考える方におすすめの方法です。また、お墓や納骨堂での供養を行わないため、ペット供養を継ぐ後継者が必要ありません。

私有地で埋葬

火葬後に私有地で埋葬する方法もあります。木や森が近くに多い場合は、野生動物による掘り返しに注意してください。

また、私有地内であっても、近隣住民に迷惑がかからないモラルの範囲内で埋葬を行いましょう。

ご遺骨をアクセサリーに加工

ご遺骨をパウダー状に粉砕し、加工してアクセサリーに入れておく方法もあります。最近は遺骨カプセルに入れてキーホルダーにしたり、ペンダントにしたりしている飼い主様もいらっしゃいます。

また、近年はメモリアルダイヤモンドというご遺骨から炭素を抽出し、ダイヤモンドを制作する方法もあります。外観や輝きは一般的なダイヤモンドとほとんど変わりありません。指輪やネックレスにして身につけている方もいらっしゃいます。

剥製にする

ペットのご遺体を火葬せず、剥製にされる方もいらっしゃいます。最近はフリーズドライ製法という、ペットの筋肉や骨を残したまま剥製にする技術があります。

剥製でも、生前に近い形でペットを残せるため、近年流行になりつつあります。しかし、技術者が少ないため、費用が高いというデメリットがあるでしょう。

ペットの葬儀はお寺でもできる

ペットの供養は、ペット葬儀業者とお寺で行うことができます。ただし、お寺での供養は制限があることも多く、どのお寺でも対応してくれるわけではありません。

そもそも、お寺で動物の供養をするようになったのはごく最近のこと。仏教の考えでは、人間と動物を同じように供養することは邪道とされていました。

最近では、ペットを家族同然に思う人たちもいることから、ニーズに応えて供養してくれるお寺も増えています。ただし、火葬設備がない、ペット専用の納骨堂がないというお寺もあるため、お寺での葬儀や供養を考えているなら、事前に必ず確認してください。

お寺でも、ペット業者でも、供養は丁寧に行ってくれます。今回紹介した違いを比較しながら、自分にあった供養の方法を選びましょう。

ペットの葬儀や供養、終活についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひCOCOペットにご相談ください。生前のお見積り、ご相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。