近年、ペットの飼い方の変化などにより、ペットを家族の一員とみなす人が増えてきています。ペットが亡くなった際に葬儀をあげる人も増えているため 、飼い主と親しい間柄であれば、参列をお願いされることもあるかもしれません。

ペットの葬儀に関するマナーには、確立されたものがないため、葬儀の参列に何を準備すべきかなど、細かなことに悩んでしまうでしょう。特に、香典について悩む人は多く、用意したほうがいいのか、適切な金額はいくらかなど、判断に迷うことも多いようです。

しかし、人間の葬儀とは異なり、ペットの葬儀において香典は不要とされています。香典で弔意を表す代わりに、愛するペットを失った飼い主の気持ちにしっかりと寄り添うようにしましょう。

本記事では、ペットの葬儀で香典が不要な理由、香典の代わりとなる持参品などについて解説します。

ペットの葬儀に香典は不要

ペットの葬儀に香典は不要

前述のとおり、ペットの葬儀に香典は必要ありません。ここではその理由を解説します。

ペットの葬儀では正式なマナーはない

ペット葬が広く行なわれるようになったのは比較的最近であり、正式なマナーといえるものはまだありません。

香典も慣習として定着していないため、渡してしまうと受け取った側もどう対応すればいいのか悩むことになります。

人間の葬式を参考にして、無理に形式的なことをする必要はないでしょう。

香典返しなどで気を遣わせるため香典はなくて良い

香典とは、弔意を表す方法の一つであり、亡くなった方の霊前に供える金銭または品物です。

人間の葬儀の場合、香典を受け取った側は送ってくれた人に対して香典返しをします。

そのため、飼い主様がペットへの香典を受け取ったら、やはり香典返しを考えるでしょう。しかし、前述のように、ペットの葬儀にはマナーがないため、どのように返すべきか悩んでしまうかもしれません。

また「参列者に香典を出させてしまった」と、飼い主様に気を遣わせることにもなります。

状況的にも相手の負担になるため、マナーとして定着していない香典を無理に送る必要はないでしょう。

香典よりも飼い主の気持ちに寄り添うことが大事

ペットの葬儀では形式にこだわるよりも、愛するペットを失った飼い主の気持ちに寄り添うことのほうが大切です。

まずはお悔やみの言葉を伝えましょう。そして、亡くなったペットにとって、飼い主との日々が幸せだったであろうことなども伝えます。

葬儀は、亡くなったペットとの最後のお別れの場です。参列者の心からの振る舞いが、飼い主の悲しみを和らげることになるでしょう。

ペットの葬儀で香典を渡す場合の相場は?

前述のように、ペットの葬儀で香典は不要です。しかし、参列者同士の話し合いなどの結果によっては、香典を渡すように決まることがあるかもしれません。

ペットの葬儀で香典を渡す場合の相場を紹介します。

ペット葬での香典は3,000円が目安

ペット葬でどうしても香典を渡したい場合は、3,000円を目安にしましょう。

人間の葬儀でも、知人や友人からの香典は3,000~1万円が相場といわれています。それを参考に考えても、金額的に妥当といえるでしょう。

多く包んだとしても、5,000円までにするのが無難です。

高額の香典は飼い主の負担になるためふさわしくない

人間の葬儀における香典との金額のバランス、香典返しの負担からも、高額な香典は控えることをおすすめします。

現状では、ペットの葬儀において香典はマナーではないため、香典を受け取ることを想定する飼い主はほとんどいないでしょう。心理的な負担になる可能性を考えても、高額の香典を渡すことが相手への思いやりにつながるのかは、やや疑問です。

香典を渡すよりも、亡くなったペットを偲ぶことのできるものを持って参列し、遺体とともに天国へと送り出してあげるとよいでしょう。

ペットの葬儀で香典の代わりとして渡せるもの

ペットを悼む気持ちを何らかの形で示したい場合は、香典の代わりに次のものを用意するとよいでしょう。いずれも棺に納められるため、ペットとともに天国へと送り出せます。

お花

葬儀では、棺に入れるお花や供花を贈ると供養として喜ばれます。

人間の場合は、淡い色合いの花を手向けることが一般的ですが、ペットの場合は色合いの鮮やかなものでも構いません。

ただし、色が濃すぎると、棺に入れて遺体とともに焼いた際に、お骨に色移りすることがあります。棺に入れる場合は、色の淡いものにしましょう。

供花の場合、人間の葬儀と同様に、トゲのあるものや花粉の落ちるものは好まれません。 これらの特徴のある花を避けたうえで、亡くなったペットをイメージできるような花を選ぶとよいでしょう。

おやつ

ペットが生前好んでいたおやつを、棺に入れてあげるのもよいでしょう。飼い主にとってもペットをしっかりと見てくれていたと感じられるため、喜ばれるかもしれません。

ただし、おやつを棺に入れる際は袋や容器から出して、紙皿などに移し替える必要があります。袋や缶、プラスチック容器は燃えにくく、棺になかに残ってしまうことがあるためです。

お骨に付いてしまうこともあるため、必ず移し替えるようにしましょう。

おもちゃ

ペットが好きそうなおもちゃを知っている場合は、おもちゃを持参してすると喜んでもらえるでしょう。

おもちゃのプレゼントは、天国でも楽しく遊べるように、寂しくないようにという意味を持ちます。しかし、棺の中に入れてそのまま火葬する場合は、金属やプラスチックのものは一緒に火葬できないため、注意が必要です。

香典袋の選び方・書き方

ペットの葬儀に香典を出す場合、香典袋の選び方や表書きの方法に迷う人も多いでしょう。

香典袋にペット用のものはないため、人間の香典袋を使用します。表書きも、人間の香典にならう形で構いません。

袋の種類や表書きは、飼い主の信仰や宗派に合わせるべきですが、友人や知人とはいえ、しっかり把握していないことのほうが多いでしょう。

不明な場合は、表書きはさまざまな宗教・宗派に対応できる「御霊前」にします。

ペットの葬儀のマナーについて

ここでは、ペットの葬儀でのマナーについて、参列者が悩みがちなポイントを解説します。

ペット葬儀に参列する際の服装

ペット葬儀に参加する際は、マナーの一つとして服装にも気をつけなければいけません。ここからは、ペット葬儀に参加する風葬について解説します。

服装は私服で問題ない

ペットの葬儀では、喪服ではなく、黒や紺などの落ち着いた色調の私服で行なうことが多いでしょう。

ただし、葬儀を行なう場所が葬儀場の場合は、他の葬儀や僧侶への配慮から、喪服を着たほうが良いかもしれません。

判断に迷う場合は、飼い主に確認することをおすすめします。飼い主に聞くことは、葬儀に対する配慮の一つとして、失礼にあたらないでしょう。

動物性の素材の服を避ける

ペット葬儀に参列する際は、動物性の素材の服を避けましょう。革製品やファーなどの服は「殺生」を連想させます。そのため、ペット葬儀には不適切な服装です。

特に服場は、毛皮のコートやレザージャケットなど動物性素材の服が多いです。フェイクファーであっても参列者を不快な気持ちにさせる可能性が高いため、着用しないようにしましょう。

派手な服は避ける

派手な色な服や露出が多い服もペット葬儀では避けなければいけません。人間のお葬式と同じように、ペット葬儀でも不適切です。

また、服装だけでなく、派手な化粧や匂いがきつい香水も避けるべきです。匂いが強いものを身につけるとお線香の香りを邪魔してしまいます。ペット葬儀の当日は、最低限マナーを守って参列しましょう。

ペットの葬儀に参列できない場合

事情によっては、ペットの葬儀に参列できないこともあります。

葬儀に参列できない場合は、弔電や供花を送るか後日お線香をあげに訪問し、哀悼の気持ちを伝えましょう。その際には、飼い主の心情を察し、悲しみを共有してあげることが大切です。

葬儀への参列で会社を休む場合

ペットロスへの理解が深まってきたとはいえ、ペットを対象とした忌引休暇は少ないのが現状です。 一部の企業では導入されていますが、多くの場合は、有給休暇を使って参列することになるでしょう。

ペットの葬儀への参列で休暇を取る際は、休暇取得の理由は伏せておくのが無難といえます。ペットの葬儀を理由に休暇を取ることは、まだ浸透しているとはいえないからです。

理解のある職場でないと、ペットの葬儀で休暇を取ることを快く受け入れてくれないケースもあるかもしれません。

葬儀に参列する気持ちを乱されないためにも、職場への配慮を心がけましょう。

ペット葬儀の際はお悔やみの言葉をかけてあげよう

ペットの葬儀に参列する際には、基本的に香典の持参は不要です。特段の事情により手渡す場合でも、3,000円を目安にし、多くても5,000円までにしましょう。

また、香典袋の種類や表書きの書き方は、人間と同様で構いません。飼い主の宗派などが不明な場合、表書きは「御霊前」としましょう。

何かを渡すことで弔いの気持ちを表したい場合は、お花やおやつなど、棺に納めてともに天国へ送れるものをおすすめします。お花は色移りしないものを選び、おやつは紙皿などに移して、遺体と一緒に燃えきるよう配慮してください。

ペットの葬儀には、マナーといえるものはまだありません。形式的なことを過度に気にするよりも、ペットを亡くした飼い主の気持ちへの配慮や共感を優先しましょう。