「愛猫をストレスなく病院に連れて行くためにはどうすればいいのか」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

猫ちゃんは動物病院が苦手な動物です。しかし、ワクチン接種や健康診断など、猫ちゃんの健康のために動物病院は避けて通れません。

本記事では、なぜ猫ちゃんは病院が苦手なのかをお伝えし、猫ちゃんにできるだけストレスを与えずに病院に連れていくために飼い主様がすべきこと、日常の中であらかじめ準備できることなどを解説します。

どうして病院に行きたがらない猫ちゃんが多いのか

「動物病院が好き!」という猫ちゃんにはほとんど会うことがありません。理由として、猫ちゃんは一度嫌な体験をしたら忘れない性質を持っていることが挙げられます。子猫の時に初めて行った動物病院でワクチンを打たれ、ショックを受けた経験がトラウマになっている場合があります。

猫という動物が自分のテリトリーを大切にする生き物だということも考えられるでしょう。テリトリーの外である知らない場所では緊張し、ストレスを感じます。

野生動物としての性質を多く残している猫ちゃんは、本能的に家族以外の人や他の動物との接触にもストレスを感じます。そのため、猫ちゃんは動物病院が苦手です。

猫ちゃんの病院への連れて行き方

猫ちゃんが病院に行くのを察して逃げてしまうと飼い主様も焦ってしまいます。いつもと様子の違う飼い主様に猫ちゃんがパニックを起こさず、飼い主様が落ち着いてゆったりした気持ちで猫ちゃんに接するのが大切です。

キャリーケースがあると安全に連れて行ける

動物病院への行く時は、キャリーケースを利用しましょう。キャリーケースには下記のタイプがあります。

プラスチックのタイプ

安定感があり、頑丈なため移動中も猫ちゃんを守ってくれます。プラスチック製には上下をセパレートできるものが多く、獣医師側としても診察しやすい形状です。

上だけを外し猫ちゃんがキャリーケースに入ったまま触診や聴診などの診察ができるからです。慣れると猫ちゃんが自分で出てきてくれることもあり、猫ちゃんのストレスも減らせます。

布製バッグ

飼い主様にとっては持ちやすいタイプです。このタイプも上をなるべく大きく開けられるものが便利です。できるだけ頑丈な素材を選ぶことでアクシデントから猫ちゃんを守れます。

リュックタイプ

飼い主様の移動方法によってはリュックタイプを使うこともあるでしょう。リュックタイプの場合もできるだけ頑丈な素材を選ぶことで猫ちゃんを守ることができます。

おすすめのキャリーケースの条件

猫ちゃんは狭くて暗いところを好むため、キャリーケースは猫ちゃんが安心して過ごせるものを選ぶことが大切です。以下で猫ちゃんが快適に過ごせるキャリーケースの条件をご紹介します。

サイズが合っている

キャリーケースは猫ちゃんがゆったりと入れるサイズを選びましょう。猫ちゃんが立った状態で、頭を少しかがめて中に入れられる程度のサイズが理想です。

また、キャリーケースの奥行きは猫ちゃんの体長の1.2倍以上あるものを選ぶと、猫ちゃんが方向転換しやすくなります。

開口部が広い

猫ちゃんをキャリーケースに入れたり出したりするために、開口部が広いものを選びましょう。また、上部と側面に扉があるものを選ぶと、猫ちゃんの出し入れがしやすくなります。さらに理想は、上下で完全にセパレートできるものです。

通気性が良い

キャリーケースは、通気性が良いものを選びましょう。猫ちゃんは狭い空間で呼吸がしにくくなるため、通気性が良いことで快適に過ごせます。

底が滑りにくい

猫ちゃんがキャリーケースの中で暴れた際に、滑って転倒してしまうのを防げます。

軽量で持ち運びやすい

車や電車などの公共交通機関で移動する際にも、持ち運びやすいものが便利です。しかし、軽量でも明らかに壊れやすい作りのものは避けましょう。

完全に閉まるタイプのもの

キャリーケースを選ぶ際には、完全に閉まるタイプのものを選ぶことがおすすめです。完全に閉まっていないと、キャリーケースの中で猫ちゃんが飛び出してしまう可能性があります。

また、完全に閉まっていないと、車の走行中にキャリーケースを固定することが難しくなります。そのため、ファスナーやロックなどでしっかり閉まるものを選びましょう。

キャリーケースの底面に固定用のベルトやポケットがあるものを選ぶと、車の走行中にキャリーケースが動くのを防げます。

来院途中のストレスを減らそう

お家からの移動は猫ちゃんに大きなストレスを与えます。可能な範囲で近隣に相性の良い動物病院を見つけておくと良いでしょう。

車で移動する場合は、キャリーケースごとシートベルトで固定して安定させましょう。事前に獣医師から絶食、絶飲の指示がなければ、水やおやつを与えても大丈夫です。飼い主様がいると安心する猫ちゃんなら、こまめに声をかけてあげるもの良いでしょう。

動物病院でのマナーは?

病院に到着後、待合室ではできるだけ他の動物とは離れてキャリーケースを置くのがマナーです。キャリーケースを置く時は、横の扉を壁に密着させるのがおすすめです。万一誰かがキャリーケースを蹴ってしまうトラブルがあっても、簡単に扉が開かないからです。扉を飼い主様の足の方に向けておくのも良いでしょう。

キャリーケース自体をすっぽりバスタオルで覆ってしまうのも効果的です。飼い主様も他のペットを触ったり、むやみに話しかけたりするのは避けましょう。待ち時間が長い場合、病院のスタッフに声をかけて車で待つというのも良いでしょう。

診察室に案内されても、獣医師からの指示があるまで猫ちゃんをキャリーケースから出す必要はありません。獣医師はキャリーケースに入ったまま猫ちゃんの様子を見て、飼い主様からの聞き取りを行います。

猫ちゃんがとても神経質な場合や、パニックになってしまうことがあるとわかっている場合は、自宅でキャリーケースに入れる前に洗濯ネットに猫ちゃんを入れておくのも良いでしょう。猫ちゃんは狭いところに入ると安心するため、洗濯ネットに入れておけばストレスが軽減されます。

猫ちゃんを病院へ連れていけない場合は「往診サービス」

どうしでも猫ちゃんを動物病院に連れて行けない場合、獣医師に自宅に来てもらう往診サービスを利用する方法もあります。往診サービス専門の獣医師もいますが、頼めばかかりつけの獣医師が対応してくれるケースもあります。

往診ではできる診療は限られてしまいますが、猫ちゃんの場合、慢性腎臓病で毎日の点滴が必要な場合に利用する方も多いです。猫ちゃんによっては、自分のテリトリーに知らない人が入ることでより大きなストレスを感じることもあるため、必ずしもすべての猫ちゃんに向いているわけではありません。

治療費は、往診では一般的に病院に行くより高額になります。目安としては通常の診療より5,000円前後の料金がプラスになることが多いでしょう。

猫ちゃんを病院に連れていけるようになる方法

猫ちゃんを病院に連れて行くためのポイントはキャリーケースです。キャリーケースが嫌だと病院に連れて行く前から大きなストレスになりますが、キャリーケースが快適なら猫ちゃんは自分から入ってくれます。ここではキャリーケースを好きになってもらう手順をご紹介します。

部屋にキャリーケースを置いておく

猫ちゃんは見慣れないものが苦手です。病院に行く時突然キャリーケースを出すと、見ただけで逃げてしまうこともあります。キャリーケースはできるだけ日常の部屋に置き、普段の生活でも猫ちゃんがくつろげる場所にしておきましょう。

お気に入りの毛布を入れておく

部屋にキャリーケースを設置したら、お気に入りの毛布やタオルを入れておきます。匂いに安心して入ってくれるかもしれません。移動の時にも同様にお気に入りの毛布が活躍します。

おやつやおもちゃを入れる

キャリーケースの中に猫ちゃんの好きなおやつやおもちゃを入れておくのも良いでしょう。好きなものに惹かれて自分から入ってくれる可能性が高いです。

猫ちゃんが中にいる時に扉を少し閉めてみる

上記の手順で日常的に猫ちゃんがキャリーケースに入れたら次のステップです。猫ちゃんが入っている時に扉を少し閉めてみます。

「急に閉じ込められた」と猫ちゃんはパニックになりやすくなります。猫ちゃんがすぐに出られる程度の閉め方にしましょう。少しずつ扉を閉める練習をすると最後にはしっかり閉めてロックもできます。

中で食事ができるようにしてみる

キャリーケースでご飯を与えるのも慣れてくれる近道です。ご飯とキャリーケースが結びつけば猫ちゃんにとってキャリーケースが好きな場所になってくれます。

キャリーケースに猫ちゃんのフェロモン剤を注入する

猫ちゃんは、周囲の環境になかなか馴染めない生き物です。そのため、口周りからフェイシャルフェロモンを分泌し、居心地をよくさせています。

フェイシャルフェロモンを製剤化し、スプレーにしたものも販売されています。猫ちゃんをキャリーケースに入れる20分前に内部に注入させてください。情緒を安定させる効果があります。

猫ちゃんがキャリーケースに入ることを拒み、以下の症状が出る場合は、使用してみてください。

  • 移動中の興奮
  • 鳴き声
  • 排泄
  • 嘔吐

エリザベスカラーをつけて怪我をさせない配慮を

神経質な子は慣れない環境下でパニックを起こしてしまい、攻撃的になり、キャリーケースからなかなか出てこられない可能性もあります。

怪我をすることも考えられるため、エリザベスカラーを着用し、保護してみてください。プラスチック製のカラーは洗ったり、消毒したりも簡単にできるため、おすすめです。

猫ちゃんを自転車で病院に連れて行ける?

猫ちゃんを自転車で病院に連れて行ける?

猫ちゃんを病院に連れて行く際に、自転車で行く方法を検討している飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。以下では、自転車で猫ちゃんを病院に連れていく際の方法や注意点について解説していきます。

猫ちゃんを自転車で連れていけるが、おすすめはしない

猫ちゃんは警戒心が強いため、自転車に乗せられるとストレスを感じやすい状態になります。

多くの室内飼いの猫ちゃんは、外に出ることを怖がります。また、自転車の揺れや周囲の音など、多くの刺激を受けるため恐怖を感じて暴れたり逃げたりするかもしれません。

そのため、猫ちゃんを自転車に乗せるときは、カゴからの落下や脱走にしっかりと対策をとる必要があるでしょう。

猫ちゃんを自転車に乗せる方法

自転車で猫ちゃんを運ぶことはおすすめしませんが、緊急事態ですぐに動物病院へ向かわなければならない状況もあるかと思います。いざというときのために猫ちゃんをうまく自転車に乗せる方法を以下で確認しておきましょう。

キャリーに入れて前カゴに乗せる

自転車で猫ちゃんを運ぶ際には、キャリーに入れて前かごに入れる方法がおすすめです。前かごに入れる場合、ハードタイプよりもメッシュタイプの方が、形が変形しやすいため、前かごに入れやすくなります。飼い主様も猫ちゃんの様子を確認しやすいでしょう。

ただし、前かごに乗せた猫ちゃんが急に暴れたり、前かごから飛び出して落下したりするかもしれません。そのため、キャリーを荷物紐でしっかりと固定し、安全運転を心がけることが大切です。

キャリーを持ったまま乗る

前かごに入れるのが難しい猫ちゃんや、抱っこをせがむ猫ちゃんがいる場合、飼い主様がキャリーを持って自転車に乗る方法もあります。

しかし、運転中は両手がふさがるため、肩掛けタイプのキャリーは危険を感じることもあるでしょう。リュックタイプのキャリーであれば背中に背負えるため、ぶつかる心配もありません。

キャリーに入れずに前カゴに乗せる

怪我でキャリーに入れられない、キャリーをすぐに用意できないなどの理由で、キャリーに入れずに猫ちゃんを前かごに乗せる必要があるかもしれません。万が一飛び出しても対処するため、リードを短めに持ちましょう。

ただし、キャリーに入れずに自転車に乗せるのは非常に危険なため、できるだけ避けましょう。

猫ちゃんを自転車に乗せる際の注意点

猫ちゃんは本来、警戒心が強くて自分の縄張りを大切にする動物です。そのため、外の景色を見ると好奇心よりも恐怖心が先行して、パニックになってしまうことがあります。

対策として猫ちゃんを少しでも安心させてあげるために、目隠しをするのが効果的です。目隠しをすることで猫ちゃんは外からの情報を遮断でき、恐怖心が和らぎます。ただし、空気穴を塞いでしまうと窒息の危険があるため、キャリーに入れるときだけ布で軽く目隠しをしましょう。

また、猫ちゃんは飼い主様のニオイを好みます。そのため、キャリーの中に飼い主様のニオイがついたものを入れると、安心して落ち着きやすくなります。普段使っているタオルや毛布などを入れてみましょう。

さらにキャリーに猫ちゃんを入れる場合でも、リードをつけておくことをおすすめします。リードは猫ちゃんがキャリーから飛び出したり、事故に遭ったりしないためのものです。

必ずしも付けなければならないわけではありませんが、安全のためにも付けておくことをおすすめします。

車での連れて行き方

車での連れて行き方

猫ちゃんを車で病院へ連れていく場合、準備をしっかりしていればストレスを与えることはありません。以下で、猫ちゃんを車に慣らすための手順を解説します。

キャリーケースに入れて、自宅以外の環境に慣らす

自宅でキャリーケースに猫ちゃんを入れ、自宅以外の環境に慣らします。普段自宅にいる猫ちゃんは環境が変わるだけでストレスを感じやすくなります。環境に慣れれば長時間の移動に耐えることが可能です。

車にキャリーケースを入れてエンジンをかける

車に猫ちゃんが入ったキャリーケースを積み込み、エンジンをかけます。

エンジンをかけて猫ちゃんの様子をみてください。エンジンの音でびっくりしてパニックを起こしていないか、車の振動に不信感を感じていないか確認しましょう。

車を軽く走らせてみる

車を軽く走らせて、猫ちゃんがびっくりしないかを確認します。また、車の走行中にキャリーケースが脱落する可能性もあります。キャリーケースがしっかり固定できているかも走行中に確かめてください。

こまめに休憩をはさむ

長時間のドライブでは、猫ちゃんのストレスや体調の変化を防ぐために、1~2時間に1回は休憩をとりましょう。また休憩の際には、猫ちゃんの様子を確認し、水やオヤツを与えたり、トイレをさせたりしましょう。

飼い主様が車から出る際には、猫ちゃんが車内に残っていないか、キャリーバッグやハーネスとリードにちゃんと入っているかを確認してから、ドアを開けましょう。

まとめ

猫ちゃんがストレスなく病院に行くために一番大切なのは飼い主様自身が落ち着いて普段通りに猫ちゃんと接することです。次に大切なのが、キャリーケースへの慣れです。ご紹介した手順も参考にキャリーケースを好きになってもらいましょう。

キャリーケースに慣れれば震災の際にもストレスが軽減できます。キャリーケースに慣れたら定期的な健康診断でこまめに動物病院を利用し、猫ちゃんに病院に慣れてもらいましょう。

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