「猫の異常時のサインは、どうやって見つけたらいいのか」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

大切な愛猫にはいつまでも健康でいてもらいたいと誰しもが思います。猫は言葉で「ここが痛い」「体調が悪い」などと伝えることができません。

猫の健康管理のためには、飼い主様が猫の様子をよく観察し、些細な異変にもすぐに気づいてあげる必要があるのです。

今回は、猫との生活の中で飼い主様がご自宅で行える健康チェックの方法をご紹介します。観察すべきポイントや特徴を具体的に解説していきます。是非参考にしてみてください。

猫は健康の異常を隠すのが上手

猫は人との歴史の長い動物ですが、現在でも野生動物としての側面も残している生き物です。野生では、怪我や病気などに気づかれることは身の危険につながるため、猫は不調を隠す習性があります。

痛みや体調不良に対して我慢強く、外からは体調の変化がわかりづらい動物でもあります。特にあまり人に慣れていない猫や野生生活をしていた経験がある猫ほど、弱っている自分を隠す傾向があります。

また、猫は言葉にして体の不調を訴えることはできません。猫が飼い主様の目から見て明らかに具体が悪そうにしている時は、すでに病気が進行している可能性も高くなります。

そのため、日頃の飼い主様の健康チェックで、少しの異常でも気づいてあげる必要があるでしょう。

猫の健康チェックポイント

猫の健康チェックポイント

猫の不調は、日常の観察の中で見つけられることが多々あります。以下で猫の健康チェックポイントを紹介します。愛猫に思い当たる節がないかぜひ確認してみてください。

うんちやおしっこに異常がないかチェック

うんちやおしっこは猫の健康のバロメーターです。猫の健康状態を知るのに最適なため、しっかり観察しましょう。

うんちの場合

  • 軟便や下痢はないか
  • 固すぎていないか
  • 量が異常に少なかったり多かったりしないか
  • 色に異常はないか
  • 血はまじっていないか
  • うんちをする時にいきみすぎていないか
  • 臭いがいつもと違わないか

などがポイントです。

軟便や下痢は、ストレスや餌の水分量などでもおきますが、病気が潜んでいる場合もあります。猫は泌尿器系の病気が多いため、おしっこにも注意が必要です。

おしっこは

  • 色が赤やオレンジなど異常でないか
  • おしっこにキラキラしたものが混じっていないか
  • 量や頻度に変化がないか
  • 排尿姿勢をとってもおしっこが出ないことがないか

などが注意ポイントです。

おしっこの量が極端に少ない、出ていない場合は尿毒症などの病気の可能性、逆に尿が通常の2倍以上出ている場合は、腎臓病や糖尿病の可能性があります。

食欲があるかチェック

食欲低下は老化によってもおこりますが、ストレスや運動不足などの生活習慣による可能性もあり、病気が隠れている可能性もあります。普段の愛猫の食欲を確認し変化に気づけるようにしましょう。

特に子猫、高齢猫、病気の猫は食欲不振になったら早めに対処する必要があります。食欲不振が続くと、脱水などの問題も生じることがあり、下痢や嘔吐を併発しているときは、特に脱水に気をつけましょう。

同様に、飲水量も重要な項目です。異常に水を飲むようになったなどの変化がわかるように普段から注意して観察すると良いでしょう。

日頃の生活でおかしな仕草がないかチェック

歩く姿にぎこちなさを感じる、どこかの足をかばっているように見えるなども重要なポイントです。落ち着かず異常に興奮し続ける、全く遊びたがらないなどの変化も、不調のサインの可能性があります。

神経質になりすぎる必要はありませんが、毎日の仕草や行動を観察し、不自然さを感じた場合は要注意です。

猫は犬と違って定期的に散歩をしないため、運動能力の変化に気づきにくいことがあります。以下の症状がみられた場合は、高齢のせいと決めつけず動物病院の受診を検討しましょう。

  • 疲れやすい様子がある
  • 遊びたがらない
  • 運動を嫌がるとき

体に触れて異常がないかチェック

見てわかることもありますが、体に触れてできるチェックもあります。毎日の食事やトイレの世話だけではなく、スキンシップの時間を作り猫と信頼関係を気付きながらボディチェックを行いましょう。

ボディチェックでは

  • 痩せすぎや太りすぎ
  • 不快なにおいがしないか
  • 痛がる部分はないか
  • 毛並みのツヤ
  • 抜け毛の程度
  • 皮膚の色や状態

を体に触れてじっくり観察してください。

くしゃみや鼻水が出ている

猫も人と同じように異物が鼻に入るとき、急な温度変化があるときにくしゃみをします。何度も連続するときや、苦しそうにしているときは、何かの病気のサインかもしれません。

病気による鼻水は、通常よりも粘り気があり、色が黄色っぽくなります。透明で水っぽい鼻水ならば問題ありません。鼻水に血が混じることもあるため、くしゃみと合わせて鼻水の状態も確認しましょう。猫風邪の他、感染症の可能性もあります。

こんなときはすぐに動物病院へ

こんなときはすぐに動物病院へ

猫に元気がないときでも、食欲や排便が通常通りのときは2~3日間、自宅で様子を見ましょう。

猫は病院に行くこと自体がストレスになるため、自宅でゆっくり休ませれば改善することもあります。まずは元気がないこと以外に、異常がないかどうかを確認してください。

元気がなく、ぐったりしている

猫がぐったりしているときや呼吸がいつもよりはやい時は、早期の受診を検討しましょう。緊急性の高い病気の可能性も考えられます。

以下の症状が見られたときは、動物病院に連れていきましょう。

  • 食欲がない
  • 発熱している
  • 呼吸が荒い
  • 痙攣している
  • ぼんやりしている、昏睡している
  • 腹痛、体を痛がっている
  • 嘔吐や下痢をする

猫の体の部位別健康チェック

普段から愛猫のボディチェックを行い、健康な状態を知っておくと些細な異常にも気づきやすくなります。日々のスキンシップやブラッシングの中でできる、体の部位別のチェック項目をご紹介します。

耳の健康チェック

耳垢が溜まっている場合は、見える範囲を濡れたガーゼなどで拭いてあげましょう。綿棒も使えますが、猫の耳は人とは異なり、耳道がL字型になっています。綿棒を奥に入れると耳垢を押し込んでしまうため、見える部分だけの掃除にしましょう。

以下が耳の健康チェックポイントです。

  • 耳垢がないか
  • 異臭がしないか
  • 赤味や腫れがないか
  • かゆがっていないか

目の健康チェック

目ヤニは起きたあとなどに少し出るのは正常ですが、色が緑や黄色、量が多い場合は病気の可能性もあります。

以下が目の健康チェックポイントです。

  • 涙目になっていないか
  • 充血はないか
  • 目ヤニが多くないか
  • 目を開けづらそうにしていないか
  • まばたきをしきりにしないか

鼻の健康チェック

猫は健康な状態では鼻血を出しません。猫の鼻血は腫瘍(がん)の可能性もあるため、よく注意して観察しましょう。

以下が鼻の健康チェックポイントです。

  • 鼻水が大量にでていないか
  • 鼻が詰まっていないか
  • くしゃみを激しく連発しないか
  • いびきをかいていないか
  • 鼻血はないか

口の健康チェック

健康な猫の口の中は、歯茎などが全体的にピンクで歯は白くなっています。強い口臭には腎臓の病気などの内科的な疾患が隠れていることもあるため、注意が必要です。

以下が口の健康チェックポイントになります。

  • 口の中が異常に赤かったり白かったりしないか
  • 歯の色が茶色や黄色になっていたり、ぐらついたりしていないか
  • 異常によだれを垂らしていないか
  • 口臭が強くないか
  • 出血していないか

皮膚・被毛の健康チェック

抜け毛などはストレスによる可能性もあるため、生活を見直す必要があるかもしれません。

以下が皮膚・被毛の健康チェックポイントです。

  • 傷やできものがないか
  • 脱毛している部分がないか
  • 抜け毛が異常に多くないか
  • フケが異常に増えていないか
  • 皮膚の色が黄色い、青紫、赤紫などでないか
  • 毛のツヤがなくなっていないか
  • どこかをかゆがっていないか

消化器の健康チェック

消化器の異常は、嘔吐や下痢の症状で表れやすいため、比較的見つけやすい傾向にあります。消化器の異常は、食事と強く関連しているため、猫の身体に負担をかけない食事を心がけましょう。

以下が消化器の健康チェックポイントです。

  • 嘔吐していないか
  • 下痢をしていないか
  • 腹部が膨れていないか
  • 痩せていないか
  • 毎日おしっことうんちをするか

肛門まわりのチェック

肛門回りの異常は、目で見て直接確認できるため、見つけやすい傾向にあります。

以下が肛門まわりのチェックポイントです。

  • おしっことうんちをきちんとしているか
  • 肛門が汚れたりただれていたりしてないか

肥満気味・痩せすぎもチェック

肥満気味・痩せすぎもチェック

すぐに病気になるわけではありませんが、肥満気味や痩せすぎも日々確認しておきましょう。猫は年齢と共に太りやすくなり、肥満は病気を引き起こす原因になります。

猫は人よりも運動で痩せるのが難しいため、適正体重を知り、日頃から肥満を防ぎましょう。

肥満と痩せすぎの基準

全ての猫が同じ体型ではないため、図鑑やペットショップに示されている猫の適正体重はあくまで目安です。猫の体型は、見た目と感触で判断する「ボディ・コンディション・スコア(BSC)」を活用しましょう。

理想的な体型は

  • 猫を上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが少し見える
  • 猫を横から見て腹部の吊り上がりがある
  • 猫を横から見て肋骨が浮いていない
  • 脇腹を軽く触って肋骨が数えられる

肋骨あたりを触り、骨に触れられない場合は肥満です。逆に痩せすぎは、腰のくびれが細く骨格が見える場合です。元気で食欲もあるのに痩せているときは、腎臓病などの病気が起因しているケースがあります。

肥満は病気のリスクを高める

人間にとって体に悪影響があるように、猫にとっても肥満は大きな負担で病気を引き起こす引き金になる可能性があります。

  • 関節や靭帯の負担増加
  • 心臓の負担増加
  • 脂肪に器官が圧迫され呼吸しにくい
  • 膵炎や糖尿病のリスク増加
  • 手術や麻酔のリスク増加

肥満により体にかかる負担はたくさんあります。適度な運動と正しい食事管理で、適正体重を保てるように工夫しましょう。

適度に運動する

多頭飼いの猫は、一緒に遊ぶ相手がいるため、遊んでいるうちに適度な運動をしています。ですが、一匹だけだと一緒に遊ぶ猫がいないため、飼い主様と一緒に遊ぶことになります。猫じゃらしを使ったり、キャットタワーで上下運動をさせたりすることがおすすめです。

猫の健康のために体温もチェックしておきましょう

猫の健康のために体温もチェックしておきましょう

猫は、人や犬と同じ恒温動物で周囲の温度関係なく、ほぼ一定の温度を維持することができる動物です。平均的な体温から実際の測り方までご紹介します。

子猫の体温

子猫の時でも、成長過程によって体温が変化します。

年齢体温
生後1週間35.5〜36℃前後
生後2週間36〜36.5℃
生後3週間36.5〜37℃
生後4週間37〜38℃
生後7週目以降(成猫)38〜39℃

自分で体温管理ができるようになるのは、生後七週齢以降です。子猫の期間は母猫に寄り添うことで体温を保っています。

母猫とはぐれてしまった子猫を保護したときは適切に保温してください。成猫になってくると、体温の変動が少なくなります。

シニア猫の体温

子猫や成猫と比べると、平熱が低くなる傾向があります。大きく体温が下がっている場合(1℃以上)、疾患がある可能性も考えられるため、日々の体温確認が必要です。

一方、平熱が高く、食べても痩せてしまったり動きが活発で怒りっぽくなったりした場合は、甲状腺機能亢進症の疑いがあるため、注意して観察してみてください。

体温を測る前に注意すること

正確に体温を測るため、避けた方がいい場面があります。

  • 運動や食事のあと
  • 緊張状態のとき
  • 興奮状態のとき

体温が上がっている可能性がある場合に測定せずに、落ち着いている時を見計らって測るようにしましょう。

体温の測定方法

測定方法を4種類ご紹介します。

  • 直接耳を触り、温度を確かめる
  • 体温計を使用して肛門で測る
  • 体温計を使用して耳で測る
  • 体温計を使用して脇の下で測る

手軽にできるのは、直接耳を触る方法です。しかし、普段から触っていないと体温がわからないため、初心者は体温計を使用して測定する方が良いかもしれません。

検温時期の目安

基本的に猫の検温は、2週間~1ヶ月に一回が良いでしょう。以下の症状があったときは検温してみてください。

  • 普段の元気がない
  • 食欲がない
  • 食べたものを吐いてしまった
  • 下痢をしてしまった

体調が不安定なときに検温して、高かったり低かったりする場合は病気の可能性もあるため、受診してみてください。

体温が高い時・低い時に考えられる病気

体温が高い時・低い時に考えられる病気

命にかかわる病気が見つかる場合があります。たかが体温測定ではなく、大きな病気を防ぐために日頃から小さな変化に気づけるようにしておきましょう。

体温が高い時に考えられる病気

平熱よりも体温が高いとき、「発熱」と「高体温」のどちらかの場合があります。一般的には、39.5℃を超えると発熱に当てはまります。

発熱は、細菌や炎症の影響で体温が高くなった状態を言います。よく見られる発熱の原因は以下のとおりです。

  • 細菌感染(膿胸、腎盂腎炎)
  • ウイルス性疾患(猫伝染性腹膜炎、猫白血病ウイルス感染症)
  • 炎症性疾患(膵炎、肝炎)
  • 腫瘍性疾患(リンパ腫、白血病)
  • 自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、多発性関節炎)

次に高体温ですが、体温を下げるための調節機構の能力を超えて体温が上昇してしまった状態のことを言います。何が原因で起こるかは以下のとおりです。

  • 薬物の影響
  • 内分泌疾患
  • てんかん発作
  • 熱中症

中でも熱中症は、全身の臓器に影響をおよぼし、命にかかわる場合があるため、ならないように対策が必要です。

体温が低い時に考えられる病気

平熱よりも1℃を超えて体温が下がっている場合は注意が必要です。体温の低い猫がなる可能性のある病気です。

  • 甲状腺機能低下症
  • 低血糖症
  • 尿毒症
  • 敗血症

上記の病気が疑われます。変化に気づいて早期発見を心がけましょう。

心の健康チェック

見えるところだけではなく、心の健康も大切です。猫がなるべく快適な空間で過ごすため、好きなおもちゃやお気に入りのものを用意してください。

多頭飼いの飼い主様だと、他の猫との相性が悪い可能性もあります。先住猫が安心できない環境だと、ストレスもたまります。猫同士の距離感を大切に、無理に仲良くさせようとしないで見守っていてください。

日々、猫の様子を観察して早期発見を

ご紹介したチェック項目に思い当たることはなかったでしょうか。

些細な変化すぎて、病気を疑うべきなのか、動物病院を受診すべきかどうか迷うこともあるかもしれません。

しかし、早い段階で異常を発見できたおかげで大事に至らなかったというケースも多々あります。

大切な愛猫の健康を守れるのは飼い主様だけです。普段の健康チェックをこまめに行い、1日でも元気に長生きしてくれることを目指しましょう。