犬と生活したいと考えている方の中には、犬が病気になってしまわないか心配だったり、自分の飼いたい犬が病気になりやすい犬種だったらどうしようと、気になったりする方も多いでしょう。犬の病気は犬種だけで決まるわけではありませんが、犬種ごとにかかりやすい病気を知っておくことも大切です。今回の記事では、病気になりやすいと考えられる犬種と、それらの犬がかかりやすい病気についてお伝えします。また、犬の病気を予防するために飼い主様が気をつけるべきポイントについてもご紹介します。

病気になりやすい5つの犬種とは

病気になりやすい5つの犬種とは

病気になる・ならないは、必ずしも犬種の影響のみを受けるわけではありません。しかし、イギリス王立獣医科大学の研究(Life tables of annual life expectancy and mortality for companion dogs in the United Kingdom | Scientific Reports (nature.com))によると、平均寿命が短い犬種は存在します。寿命が短いというのは病気になりやすいと捉えることもできるため、ここではこの研究で寿命が短い結果となった犬種トップ5をご紹介します。

1位・・・フレンチ・ブルドッグ

日本でも人気のフレンチ・ブルドッグは、短い鼻と大きな耳が特徴の犬です。

2位・・・イングリッシュ・ブルドッグ

いわゆるブルドッグの正式名称です。闘犬として改良されてきた歴史があります。

3位・・・パグ

短い鼻としわくちゃな顔、耳が垂れていることが特徴の犬です。

4位・・・アメリカン・ブルドッグ

日本では馴染みのないアメリカン・ブルドッグは、短い鼻としわの多い顔をしていますが、四肢が長いことが特徴です。

5位・・・チワワ

小さな体に大きな瞳が特徴で、いろいろな毛色の子がいるのも魅力のひとつです。

犬種ごとになりやすい病気は異なる

上でお伝えした5種の犬種それぞれについて、かかりやすい病気をご紹介します。

フレンチ・ブルドッグがなりやすい病気

フレンチ・ブルドッグにはいくつかの遺伝性の病気が知られています。そのひとつが「椎間板ヘルニア」です。また、遺伝に関係して「アレルギー性皮膚炎」にもかかりやすいとされています。改良が繰り返されてきた犬に多い「難産」にもなりやすく、繁殖の際には帝王切開が必要になることも珍しくありません。腎臓、膀胱、尿管、尿道などの尿路に石ができる「尿石症」にもなりやすいとされています。

フレンチ・ブルドッグは鼻の短い「短頭種」に分類される犬で、これら短頭種に特有の「短頭種気道症候群」にもかかりやすいと言えます。

イングリッシュ・ブルドッグがなりやすい病気

イングリッシュ・ブルドッグの特徴は、皮膚にしわが多いことです。しわには皮脂などがたまりやすく、細菌が繁殖して「皮膚炎」にかかりやすいと言えます。また、遺伝的に「チェリーアイ(三眼瞼腺脱出)」と呼ばれる目頭にサクランボのような赤い組織が飛び出る病気になるやすいことも知られています。フレンチ・ブルドッグと同様、短頭種なので「短頭種気道症候群」にもなりやすいです。

パグがなりやすい病気

パグも短頭種ですので「短頭種気道症候群」になりやすい犬種です。また、「レッグペルテス」という骨の病気になりやすいことでも知られています。この病気は、太ももと骨盤をつなぐ大腿骨頭が壊死する病気で、遺伝が関連するとも言われています。

パグは耳が垂れているため「外耳炎」にもなりやすいです。さらにパグに頻発することから、「パグ脳炎」とも呼ばれる「壊死性髄膜脳炎」にもかかりやすく、この病気が発症すると救命することが難しいと言えます。

アメリカン・ブルドッグがなりやすい病気

アメリカン・ブルドッグは日本ではほとんど流通していないため、聞いたことのない方がほとんどでしょう。ブルドッグと他犬種を交配させて作られた犬種で、大型犬に多い「股関節形成不全」になりやすい犬種です。運動量の多い短頭種なので「熱中症」にも注意が必要です。ブルドッグと同様、皮膚にしわが多いため「皮膚病」にもかかりやすいです。

チワワがなりやすい病気

チワワで有名なのは「水頭症」です。水頭症は脳に脳脊髄液が溜まりすぎる病気で、遺伝が関連していることが知られています。ふらつきや痙攣発作などをはじめとしたさまざまな神経症状があらわれ、治療が奏功しても数年程度しか生存することができません。また、チワワは膝のお皿の骨がはずれる「膝蓋骨脱臼」や、心臓病のひとつである「僧帽弁閉鎖不全症」にもなりやすい犬種のひとつです。

犬の病気を防ぐために飼い主がすべきこと

犬の病気を防ぐために飼い主がすべきこと

ここまではギリス王立獣医科大学の研究によって寿命が短いとされた犬種に着目し、かかりやすい病気についてお伝えしました。ここではご紹介した犬種に関わらず、犬をできる限り病気から守るために飼い主様が気をつけるべきポイントについて解説します。

食事の量や内容に気を付ける

食事は健康の要です。肥満防止や栄養の偏りを防ぐため、良質なフードを適正量与えることが大切です。年齢に応じたフード選びにも気をつけましょう。新鮮な水をいつでもたっぷり飲める環境も重要です。人の食べ物は塩分や糖分が多すぎて、犬の体に悪影響を及ぼす可能性があります。食品によっては中毒をひきおこす場合もあるため、犬には与えないようにしましょう。

身体を清潔に保つ

皮膚の病気を予防するため、体を常に清潔に保つことも大切です。毎日のブラッシングは血行を改善し、飼い主様とのスキンシップの時間にもなるためおすすめです。ベッドやお気に入りのソファなどの生活環境もこまめに掃除をしましょう。定期的にシャンプーを行い、必要に応じてトリミングも行いましょう。お口の健康は体の健康にもつながるため、歯磨き習慣をしっかりつけることも重要です。

ストレスを与えない

人と同様、犬にとってもストレスは健康の大敵です。できる限りストレスを与えないように、安心して休める居心地の良い空間を用意しましょう。犬のなかにはひとりで過ごすことが苦手で大きなストレスになる子もいます。練習なしで突然長い間留守番をさせることは避けましょう。

犬は人の言葉を理解することができません。飼い主様にとって犬が好ましくない行動をとった時に、感情にまかせてイライラした態度で叱っても理由がわからずストレスだけが溜まります。飼い主様が正しいしつけを学ぶことも大切です。

予防接種

狂犬病ワクチンの接種は、犬と生活する飼い主様全てに法律で義務付けられています。その他の混合ワクチンは自己判断での接種となりますが、接種すれば病気の予防や重症化の防止に効果が期待できます。犬の健康を守るために犬をお迎えしたらぜひ検討しましょう。

定期的な健康診断

病気への対応の基本は早期発見・早期治療です。犬は身体の不調を言葉で話せません。病気の中には、ある程度進行するまで犬本人も全く症状を自覚しないものもたくさんあります。定期的に健康診断を受け、血液検査やレントゲンなどで客観的に健康状態を把握しておくことが重要です。健康診断は最低でも年に一回は受けると良いでしょう。年齢を重ねてきたら、獣医師と相談してもう少しこまめな健康チェックを行うのもおすすめです。

愛犬の様子を日々チェック

専門家による健康チェックは重要ですが、やはり毎日犬と接する飼い主様がいち早く犬の異変に気づくことも大切です。犬の体全体に触れ、どこかに腫れやしこりなどがないかどうかを確認しましょう。目、耳、鼻、口、皮膚、歩き方などのチェックも欠かせません。排泄物もよく観察し、少しでもいつもと違うと感じたら迷わず動物病院で相談しましょう。

犬を病気から守れるのは飼い主様だけ!

今回の記事では、イギリスの研究結果で寿命が短いとされている犬種に着目し、かかりやすい病気について解説しました。犬の病気のなかには、遺伝などの関係で予防が難しいものもあります。しかし、早期に発見し治療につなげれば、犬の生活の質を守ることができます。また、肥満の予防や歯磨き習慣など日々の健康管理の積み重ねも大切です。飼い主様の気配りで犬を病気から守りましょう。