「猫がしっぽを振っている時に何を考えているのか気になる」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しっぽは猫にとって重要な部位で、感情表現にも使われています。猫がしっぽをふる時の気持ちを理解することで、飼っている猫とより親密にコミュニケーションを取れるようになるでしょう。

今回の記事では、猫のしっぽの役割について解説し、しっぽの動きから読み取れる猫の感情について詳しく解説します。また、目や耳など、しっぽ以外のパーツでわかる猫の気持ちについてもお伝えします。猫を飼育している方の参考になれば幸いです。

猫がしっぽをふる理由

猫がしっぽをふる理由

猫のしっぽは何のためについているのでしょうか。はじめに猫のしっぽが担う4つの役割についてお伝えします。

バランス調整

猫はしっぽでバランスを取ることが可能です。高いところや狭い場所を通る際にバランスを崩しそうになると、しっぽを素早く振って骨盤の位置を調整します。繊細な動きができるのは、しっぽの構造に仕組みがあります。

しっぽを外から見ると単純なつくりに見えるかもしれません。しかし、実際にはしっぽは尾椎という短い骨が18個も並んでいます。

体の他の部分と同様、しっぽの骨の中にも神経や血管が通り、外側は筋肉で覆われています。しっぽは多くの骨と筋肉で構成されているため、前後左右自由に動かすことが可能です。

マーキング

猫が柱などにおしりをこすりつけている姿を見たことのある方も多いでしょう。実際には猫はおしりではなく、しっぽの付け根をこすりつけています。

猫のしっぽの付け根には「臭腺(しゅうせん)」と呼ばれるにおいを発する器官があります。猫は、この臭腺を柱や壁に擦り付けることで自身のテリトリーをアピールすることが可能です。

飼い主様の足などにしっぽを絡ませてくるのもマーキングの一種だと考えられています。臭腺からのにおいは、通常では人にとってそれほど気になるにおいではありません。

体温調整

猫寒い時、猫は体を丸めて自分自身のしっぽで足首や顔を覆っていることがあり、猫の飼い主様同士では「しっぽマフラー」などと呼ばれています。

しっぽを防寒具として使用している根拠のひとつとして、サイベリアンなど寒い国出身の猫種などで、しっぽの被毛が豊富なケースがあります。

感情表現

マーキングや鳴き声などと同様、しっぽは猫同士のコミュニケーションの手段です。また、飼い主様に対してうれしい、悲しいなどの感情を表現する際もしっぽを活用していると言われています。

猫がしっぽをふるのはどんなとき?

猫がしっぽをふるのはどんなとき?感情ごとの動かし方

犬がしっぽをふるのは嬉しい時ですね。猫もしっぽをふることがありますが、必ずしも嬉しい時だとは限りません。以下で、猫のしっぽの動きと感情についてお伝えします。

しっぽをピンと立てる

うれしい時やご飯を食べたい時です。また、子猫が母猫にかまって欲しい時は、しっぽを垂直にピンと立てますが、成猫が飼い主様に甘えたい時にもしっぽをピンと立てます。成猫同士の挨拶にも、猫はしっぽを立てます。

しっぽをくねくねさせる

ワクワクしている時はしっぽをくねくねと動かし、遊んで欲しい時はそのまま飼い主様に近づくこともあります。しっぽを振り上げたら、おもちゃやボールなどを使って遊んであげましょう。

猫は飼い主様と遊ぶことが大好きです。一緒に遊んであげることで猫は楽しい気持ちになり、信頼関係も深まります。

しっぽを震わせている

しっぽを立てて、プルプルと震わせることがあります。嬉しくて興奮している時の仕草です。この時は、目も輝き、うれしさを体中で表現しているでしょう。

しっぽを左右にゆっくり振っている

機嫌が良く、リラックスしています。そのままにしてあげるのが一番です。猫はリラックスしている時に、安心感や幸福感を感じています。無理に起こしたり、刺激を与えたりすると、リラックス状態を崩してしまうかもしれません。

しっぽを前足にくるんと巻きつけている

猫が座っている時に前足を体に寄せ、しっぽをくるりと巻き付けている場合は安全で安心できる場所にいると感じている証拠です。猫が安心して過ごせる場所を確保し、静かな環境を保つようにしましょう。

しっぽの毛を逆立てている

猫は警戒している時や、怒っている時にしっぽを膨らませて毛を逆立てます。猫の飼い主様の間では「たぬきしっぽ」などと呼ばれています。これは、しっぽの毛根周りの立毛筋という筋肉の収縮によりおこる現象です。

しっぽを素早くパタパタ振っている

不機嫌でイライラしている時は、床を叩くように定期的にしっぽを大きくふります。猫が怒っている時は無理に触ったり抱っこしたりしないようにしましょう。猫が警戒心や不快感を感じて、攻撃的になる可能性があります。

しっぽを山形に曲げて振っている

しっぽを山型に曲げて振っている場合は、猫の臨戦態勢で「これ以上近づかないで」と最終警告している状態です。こういった時は、猫には近づかずそっとしておきましょう。

しっぽを後ろ足の間に隠す

猫が尻尾をくるりと後ろ足の間に巻き込んでいるのは、カメのように体を小さくして身を守ろうとしているためです。何かに恐怖を感じているサインです。

抱いた時にしっぽを激しく振っている

抱かれることを怖がっていたり、嫌がっていたりする可能性があります。しつこくかまいすぎると嫌われる可能性があるため、そっとしておきましょう。

お腹にくっつける

しっぽをお腹にくっつける行為も、怯えている際に猫が取る行動です。なにかに怖り、守りの体勢に入っているのかもしれません。

しっぽをだらりと力なく下げている

猫は嫌なことや飼い主様に叱られた時、しっぽを下げます。猫が落ち込んでいることを示すサインです。また、体調不良の時などもこの様子をみせるため、猫がしっぽを下げていたら食欲などもよく観察し、異常があればすぐに動物病院を受診しましょう。

しっぽの先をピクピクさせる

しっぽの先をピクピクさせる行為は、何か重要なことに集中している可能性があるときです。そのため、邪魔をすると集中力を乱したり、ストレスを与えたりするかもしれません。猫がしっぽの先をピクピクさせる仕草をしている時は、そっとしておいてあげましょう。

しっぽの先だけ小さく振っている

猫は寝ている時にとてもリラックスしています。そのため、名前を呼ばれてもすぐに起き上がれません。しっぽで返事をして、もう少し寝かせてほしいと伝えています。猫の意思を尊重して、そっとしておいてあげましょう。

猫が起き上がってから遊んであげたり、ご飯をあげたりすると良いです。

座った状態でしっぽを上下にパタパタと振る

座った状態でしっぽを上下に動かしている際は、考えごとを整理しています。

猫は好奇心旺盛な動物です。常に新しいことに興味を持っており、次に何をするか考えています。

猫が座ってしっぽをパタパタさせている時は、そっとしておいてあげましょう。猫が自分のペースで考えを整理できるようにしてあげることが大切です。

猫のしっぽは繊細

猫のしっぽは触っても大丈夫?

猫のしっぽは大変かわいらしく、つい触ってみたくなります。しかし猫のしっぽは非常に繊細であるため注意が必要です。

猫のしっぽは触らない

前述した通り、猫のしっぽには神経も通っているためデリケートです。強く触ると痛みを感じ、誤って神経を傷つけてしまうとしっぽが変形したり、歩行障害などが出たりする危険性があります。

猫自身もリスクをわかっているからか、しっぽを触られることはとても嫌がります。猫のしっぽには触れない方が良いと言えるでしょう。ひっぱったり強く握ったりするのは絶対にNGです。

しっぽをブラッシングするときの注意点

しっぽは毛玉ができやすいため、丁寧にブラッシングするべきです。しかし強く引っ張ると危険なため、注意しながら優しくブラッシングしましょう。

手順としてブラッシングは背中など、嫌がらない部分からはじめて徐々に慣れさせることで猫への負担を軽減できます。嫌な箇所からブラッシングするとストレスに繋がる上に、ブラッシング嫌いになる恐れがあるため注意が必要です。

万が一毛玉ができていても、強く引っ張ってほぐそうとしてはいけません。ハサミで慎重にカットするかプロのトリマーに依頼してバリカンなどで剃ってもらうと安心です。

しっぽの付け根を触ると喜ぶ

しっぽを触るとストレスになりますが、猫はしっぽの付け根を触ってあげると喜びます。しっぽの付け根にもたくさんの神経が集まっており、適度な刺激を心地よく感じていると考えられるためです。

そのため、猫のしっぽの付け根を優しくトントン触ってみましょう。敏感な箇所であることに変わりはないため、力加減には注意してください。

猫のしっぽを踏んでしまったら

猫は神出鬼没であるため、踏んでしまいそうになることもあります。特にしっぽの長い猫を飼育している場合、敏感であるしっぽを踏んでしまうことも珍しくありません。

しっぽを踏んでしまうと以下の症状が出る可能性があります。

  • しっぽが動かなくなる
  • しっぽが曲がっている(骨折や脱臼)
  • 自力で排尿や排便ができない
  • 後ろ足の動きがおかしい

万が一踏んでしまった場合は必ず動物病院に連れて行きましょう。特に小さい子供と住んでいる場合、誤って踏んでしまう事例が頻発しているため注意が必要です。できるだけ子供と猫だけの環境にはならないようにしましょう。

猫がしっぽをふること以外で感情を読み取る方法

猫がしっぽをふること以外で感情を読み取る方法

猫はしっぽ以外でも以下のパーツを使って自分の感情を表現します。

  • ひげ

感情の表し方には個体差もあるでしょう。以下でしっぽ以外で読み取れる代表的な猫の気持ちをお伝えします。

目から読み取る

猫の瞳孔は、暗い場所では大きくなり、明るい場所では小さくなります。交感神経が優位の時には瞳孔が開くため、緊張した時や興奮した時は黒目が丸く大きく見えるでしょう。反対にリラックスしている時は瞳孔が小さくなるため、黒目は縦長に細く見えます。

猫と目を合わせようとした際に、すっと目を逸らされたり瞬きをされたりした場合は、敵意がないというサインを送ってくれている可能性があります。

ひげの向きから読み取る

猫のひげはアンテナのように周囲の情報をキャッチする役割を担っています。興味のある方向へひげを反らせて詳しく調べることが可能です。

また、恐怖心がある場合はひげも後ろ向きになるため、頬にひげがついたように見えるでしょう。嬉しい時はひげの角度も上を向き、リラックスしている時はひげは下を向いています。

耳の状態から読み取る

恐怖や不安を感じたり、怒っている場合、猫は耳を後ろへ反らしていわゆる「イカ耳」と呼ばれる状態にします。

恐怖心でいっぱいになると、耳を完全に平に伏せるでしょう。好奇心で何か気になっている状態の時は、耳を前向きにピンと立てて音が良く聞こえるようにしています。耳を少し外向きにしている時はリラックスしているかもしれません。

猫は体中で感情を表現する動物

猫は体中で感情を表現する動物

今回の記事では、猫のしっぽの動きやしっぽ以外から読み取れる感情についてお伝えしました。

猫と生活している中で、猫の気持ちや感情を知りたい場面はたくさんあります。しっぽを見ることで、より猫に寄り添ったコミュニケーションが取れるかもしれませんが、猫のしっぽは非常に敏感です。基本的には触らないようにして、ブラッシングなどの際も十分に注意して行いましょう。万が一尻尾に異常を感じたらすぐに動物病院で診察を受けてください。

大好きなペットにはいつまでも元気でいてほしいですが、いつか必ずお別れの時がやってきます。いざその時が来ると、急な悲しみで冷静な判断ができなくなることもあります。

ペットが元気なうちから、ペットの看取りや葬儀などをどうするのかを考えておくことで、

後悔のない最期の時を過ごすことができます。悔いなくきちんとペットとお別れをすることは、その後のペットロスの緩和にも繋がります。

COCOペットでは、生前の終活についてのご相談も承っております。些細なご質問でも、お気軽にご相談ください。