いつまでも愛くるしい犬も、気づくと歳を重ねています。そろそろ愛犬がシニア期に入るのではないかと気になる飼い主様も多いでしょう。

犬種による違いはあるものの、犬の場合、概ね6~7歳からシニア期に入ると言われています。今回の記事では、シニア犬の年齢やシニア期に入った犬に訪れる様々な変化をお伝えします。

愛犬が快適なシニア期を送れるように、フードや生活環境など必要なケアの方法なども解説します。

犬は何歳からシニア期に入る?

シニア期に明確な定義はありません。

犬の場合、一般的には寿命の半分くらいの年齢からシニア期(中高年期)と呼び、寿命の3分の2くらいの年齢からをハイシニア期(高齢期)と呼びます。

一般社団法人ペットフード協会の2021年発表の【全国犬猫飼育実態調査】において、犬の寿命は14.65歳でした。

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よって、犬は一般的に7~8歳からシニア期に入ると言えます。犬種によって成長のスピードがやや異なり、大型犬の方が小・中型犬より寿命がやや短い傾向にあります。

そのため、小型犬は6~7歳ごろから、大型犬は5~6歳ごろがシニア期に入る目安です。また、小型犬・中型犬では10~12歳、大型犬では8歳くらいから、ハイシニア期(高齢期)と考えて良いでしょう。

シニア期になると見られる変化とは?

シニア期になると、外見や体内、行動や心理状態など様々な部分に変化が出てきます。ここではそれぞれについて解説します。

外見で分かる変化

人間と同じように、犬も年齢を重ねていくことで外見が少しずつ変化していきます。シニア期の犬に見られる外見の変化としては以下のようなものが挙げられます。

  • 体形の変化(太りすぎ・痩せすぎ)
  • 被毛の変化(白髪が目立つ・ツヤが無くなる)
  • 口腔内の異常(強い口臭・歯の黄ばみ)

シニア期になると、運動不足による肥満やより体全体の見た目が太り気味になったり、食欲が減退することで、反対に痩せたりすることがあります。

被毛の変化も分かりやすい老化のサインの一つです。例えば、被毛の中に白髪が混じっていたり、ツヤが無くなりパサついていたりする場合は、年齢による影響が考えられます。

白髪は特に目の周囲や頭部などに目立つことが多いでしょう。目は核硬化症や白内障で白濁することがあります。

また、シニア期の犬は口腔内のトラブルが増える点も特徴の一つです。歯周病の影響で歯が抜ける場合や、強い口臭が気になることも多いでしょう。

他にも、肉球が乾燥しやすくなる、目ヤニが増えるなど細かい見た目に変化が出ることもあります。

体内の変化

シニア期になると、以下のような体の機能にも衰えが見えるようになります。

  • 筋肉量の低下
  • 基礎代謝の低下
  • 内臓機能の衰え

シニア期になると筋肉量が低下するため、長時間の散歩ができなくなったり、散歩自体に行きたがらなくなったりすることがあります。

首や足などの筋肉量も低下するため、フードを食べる姿勢が保てず食事中にふらつくこともあります。

また、シニア犬は筋肉量の低下に伴い基礎代謝が低下するため、成犬の時と同じフードを同じ量食べていると、肥満になりやすいでしょう。

一方、腸などの消化器が衰えるため、前と変わらずに食べていても痩せてきたり、食欲自体が落ちてきたりすることもあります。

消化器以外にも、心臓などの循環器、腎臓などの泌尿器、精巣・卵巣などの生殖器など色々な臓器の機能が低下します。体温調節が上手にできず寒さや暑さに弱くなり、体の免疫力も低下します。

行動・心の変化

行動や心に関しても、若い時とは異なる変化が見えてきます。

  • 食の変化
  • 好奇心の低下
  • 動きや反応が鈍くなる
  • 甘えてくる、寂しがるようになる

シニア期になると、視覚・聴覚・嗅覚・味覚など感覚器の機能も落ちます。そのため、嗅覚や味覚の低下により急にフードの好みが変わったり、咀嚼力の低下も伴いフードへの食いつきが減ったりすることもあります。

空腹やのどの渇きなどに対して鈍感になり、積極的に動かなくなります。好奇心や周囲への関心も薄くなるため、全体的な活動量が減ることが多いでしょう。

筋肉量の低下や、好奇心の低下により、動くことが億劫になってしまうため1日の中で寝ている時間が増える傾向になります。

好奇心の低下により、日中の活動量が減ってしまうため、カロリーを消費しきれずに肥満になってしまうシニア犬も少なくありません。

また、シニア期になると分離不安気味になり飼い主様の姿が見えないだけで鳴いたり、留守番が苦手になったりすることもあります。

シニア期を迎える犬に必要なケアとは?

上ではシニア期を迎えた犬に訪れる変化についてお伝えしました。このような様々な変化があるため、シニア期の犬には細やかなケアが必要です。

フードの変更

フードは必ず年齢に合ったものを選びましょう。シニア犬は成犬よりも必要なカロリー数は減ります。概ね7歳くらいからはシニア用と記載されたフードを選びましょう。筋肉量の維持のため、できるだけ高タンパクで低カロリーのフードを選ぶのがおすすめです。

腎臓などに問題がある場合はタンパク質を制限する必要があるため、獣医師の指示に従いましょう。嗅覚などが衰えて食欲が低下してきた犬の場合、フードを温めると臭いがたって食欲が戻ることがあります。口内の問題でドライフードが食べづらい場合は、お湯でふやかして与えるのも良いでしょう。

シニア期の犬に多い病気やケガ

シニア期の犬に多い病気やケガ

シニア期の犬は、体の多くの機能が衰えていくため、病気やケガにかかりやすくなります。

中には命に関わるような病気もあるため、シニア期の犬に多い病気やケガを知っておくことで、いざというときの対策を立てやすくなります。

がん

気を付けたい病気の一つが、「がん」です。日本では、がんは犬の死因の第一位と言われており、高齢であるほど発症しやすいとも言われています。

また、がんの初期症状はほとんどないことが多く、がんの箇所も体の至る部位で発症するため、症状も様々です。

もし以下のような症状が出ている場合は、がんの可能性を疑い、できるだけ早く動物病院に連れていくことをおすすめします。

  • 体にしこりがある
  • 体重が急激に減少した
  • 食欲が無くなる
  • けいれんを起こす
  • 咳が増える

人間と同様、がんを予防する方法は確立されていないため、定期的な健康診断や、日々のスキンシップの中で愛犬の体調の変化を常に確認しておくことが、がんの早期発見につながります。

心臓病

シニア犬は、年齢とともに心肺機能が低下していくため、心臓病にかかるリスクも高くなります。

犬がかかりやすい心臓病の代表例としては、「僧帽弁閉鎖不全症」と呼ばれる、心臓の血液が逆流してしまう病気です。

僧帽弁閉鎖不全症の代表的な症状は以下です。

  • 歩くとすぐ息切れする
  • 咳が頻繁に出る
  • 歩きたがらない
  • 安静時の呼吸が早い

この病気の怖いところは、初期症状が一般的な風邪の疾患に似ているため、見逃すケースが多く、気づいたときには重症化してしまう場合がある点です。

痛みなどの初期症状も少ないため、飼い主様から見ると、老化による影響だと考える方も少なくないため、早期発見が難しい病気です。

心臓病は、いかに早く治療できるかが生死を分けることにもなるため、いつもと違うなと感じたら、すぐに受診するようにしましょう。

糖尿病

糖尿病もシニア期の犬がかかりやすい病気の代表格です。

糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンが不足することで、血糖値が下がりにくくなり、高血糖になる病気です。

主な原因として、遺伝的要因や肥満といった生活習慣によるものが挙げられます。糖尿病の代表的な症状としては以下があります。

  • 水を飲む量が増える
  • 排尿の回数が増える
  • たくさん食べるのに痩せていく

また、糖尿病はほかの病気を併発しやすいため、日ごろから愛犬の様子を観察し、体重の急激な増減など、顕著な変化があれば早めに受診しましょう。

歯周病

シニア期の犬は口腔内のトラブルが増える傾向にあり、歯周病はほとんどの犬種でかかる可能性があるため、注意が必要な病気です。

歯周病は主に以下のような症状が見られます。

  • 口臭が強くなる
  • 歯茎から出血する
  • 食欲がなくなる

歯周病と聞くと、歯の病気であるためそこまで健康に害はないのではないかと考える方もいると思います。

しかし、歯周病を放置すると、菌が体中に回って持病の悪化や他の病気の併発などを引き起こす恐れがあります。

特にシニア期の犬は免疫力が低下しているため、病気の併発は寿命を縮めることにもなりかねないため、歯磨きや水分補給の習慣化など、日ごろのケアが重要になります。

慢性腎不全

慢性腎不全もシニア期の犬によく見られる病気の一つです。

この病気は、加齢や病気などで腎臓の機能が徐々に弱ってしまい、老廃物がうまく体外に排泄できず体にたまり続けてしまう病気です。

腎臓病の初期症状としては以下があります。

  • 多飲多尿
  • 尿の色が薄い・量が増えた
  • 嘔吐や下痢

初期症状では変化が分かりにくいですが、腎臓の機能が低下することで老廃物をうまく濃縮できなくなるため、おしっこの色が薄く量が増えるといった症状が代表的です。

残念ながら慢性腎不全は完治できない病気ですが、定期的な治療を継続することで症状の緩和や、進行を遅らせることはできます。

そのため、できるだけ早い段階で発見するためにも、初期症状の特徴は押さえておきましょう。

シニア期を迎える犬に必要なケアとは?

シニア期を迎える犬に必要なケアとは?

上ではシニア期を迎えた犬に訪れる変化についてお伝えしました。このような様々な変化があるため、シニア期の犬には細やかなケアが必要です。

フードの変更

フードは必ず年齢に合ったものを選びましょう。

シニア犬は成犬よりも必要なカロリー数は減ります。概ね7歳くらいからはシニア用と記載されたフードを選びましょう。

筋肉量の維持のため、できるだけ高タンパクで低カロリーのフードを選ぶのがおすすめです。

また、シニア犬は食事のバランスも変化しており、特にタンパク質は若い頃より少し多めに摂取する必要があります。

ただし、腎臓などに問題がある場合はタンパク質を制限する必要があるため、獣医師の指示に従いましょう。

嗅覚などが衰えて食欲が低下してきた犬の場合、フードを温めると臭いがたって食欲が戻ることがあります。口内の問題でドライフードが食べづらい場合は、お湯でふやかして与えるのも良いでしょう。

定期的な健康診断

シニア期に入ったら、動物病院で定期的に健康診断を受けることも大切です。

シニア犬は食欲や運動量が変化することが多く、それらが老化なのか何らかの病気による不調なのかを飼い主様が見極めるのは非常に難しいです。

そのため、動物病院で定期的に健康診断を受けることで、獣医師から適切な判断を受けましょう。健康診断を受けることで獣医師とのコミュニケーションが円滑になるというメリットもあります。

また、健康診断のデータも年々蓄積されるため、いつもと違う結果が出た際の診断の精度や、万が一病気が発覚した際の対応スピードを速めることにもつながります。

健康診断の頻度は、半年に一度を目安にかかりつけの獣医師と相談しましょう。

生活しやすい環境を整える

シニア期に入ったら、生活環境の見直しも必要です。

段差はシニア犬の足腰に負担を与えるため、できるだけスロープなどの設置で段差をなくしましょう。

フローリングなどの滑りやすい床も足腰や関節に悪影響なため、ジョイントマットなどを利用することで、足腰の負担を軽減してくれます。

水入れやトイレなどは、愛犬のお気に入りのソファやベッドなどの近くに置きましょう。水入れやトイレは複数個所に設置することで犬が目に入った時にすぐに向かえます。

また、エアコンを利用してできるだけ室内の温度を一定に保つ工夫も、愛犬が快適に生活しやすい環境を整えるために必要でしょう。

散歩は適度な範囲にする

シニア期に入ると散歩に行きたがらなくなる犬もいます。日中寝ていて散歩の時間に起こすのがかわいそうだと考える飼い主様もいます。

しかし、散歩に出なくなると、運動不足や脳への刺激不足により、ぐっと老化が進んでしまう可能性もあります。

散歩は筋肉量の維持や肥満の防止など体の健康だけでなく、外の匂いや外気に触れることで脳への刺激となり認知症の防止などにもなるため、可能な限り連れ出しましょう。

足腰や関節に問題がある犬の場合、歩行サポート用のハーネスなどの利用もおすすめです。

注意点として、シニア期の犬は足腰が弱っているため、若い時と同じような長時間の散歩はかえって悪影響です。そのため、1回10分程度の散歩を1日2~3回に分けて行うと良いでしょう。

愛犬とのコミュニケーションをしっかりとる

シニア期になると、体の機能が衰えるため、若い時のように走り回ったり、飼い主様に全力でじゃれたりすることは少なくなります。

ですが、シニア期になっても、愛犬が飼い主様とのスキンシップが大好きであることには変わりありません。

活発に遊ぶことはできなくても、優しくなでてあげたり、軽い散歩に出かけたりと、積極的に愛犬とのコミュニケーションを取るようにしましょう。

また、スキンシップを日常的に取ることで、いつもと違う様子や、体の変化にいち早く気づけるため、シニア期の愛犬の健康を守る意味でも、日々のコミュニケーションを大切にして下さい。

早めのケアで快適なシニア期を送らせてあげましょう

今回は犬のシニア期についてお伝えしました。シニア期を快適に過ごすためには飼い主様のこまやかな気遣いが欠かせません。

シニア犬には成犬とはまた異なる魅力が出てきますね。愛犬に1日でも長生きしてもらえるように、今回の記事も是非参考にして、早めのケアで快適なシニア期を送らせてあげましょう。

大好きなペットにはいつまでも元気でいてほしいですが、いつか必ずお別れの時がやってきます。

いざその時が来ると、急な悲しみで冷静な判断ができなくなることもあります。

そのため、ペットが元気なうちから、ペットの看取りや葬儀などをどうするのかを考えておくことで、後悔のない最期の時を過ごすことができます。また、悔いなくきちんとペットとお別れをすることは、その後のペットロスの緩和にも繋がります。

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