愛犬がいつものように歩けなくなってしまうと、飼い主様としては心配で仕方ないですね。原因を知り、できる対処を知りたいという方も多いでしょう。犬が歩けなくなる理由には色々なことが考えられ、対処方法も異なります。今回の記事では、犬が歩けなくなる原因を解説し、対処方法や歩けなくなることを防ぐために飼い主様が普段から心がけておくべきことをお伝えします。

犬が歩けなくなった理由とは?

犬が歩けなくなった理由とは?

はじめに、犬が歩けなくなる理由として考えられることをお伝えします。

筋力の低下

健康な犬でも、年齢と共に筋力が低下して若い頃のように歩けなくなることがあります。老化による筋力の低下はまず後ろ足に顕著に出ることが多く、フードを食べている時に後ろ足がふらついたり、排便の際に姿勢が安定しないなどの変化がみられることが一般的です。

筋肉は使わないとどんどん衰えるため、肥満や怪我などによって歩かない時間が長くなるとさらに筋力が低下する傾向があります。

ケガや関節の痛み

転ぶ、ぶつける、カーペットに足がひっかかるなどのアクシデントで骨折や脱臼をすると、痛みで動けなくなることがあります。特に小型犬の場合、ソファーなどからの飛び下りや、飼い主様が抱っこしていて落ちてしまうなど室内の事故が多いと言えます。大型犬は先天的に股関節の発達が悪いことがあり、股関節の脱臼が珍しくありません。

加齢による関節の病気も痛みの原因となります。中高齢以降で肥満傾向の場合、日常的に膝や関節などに負荷がかかるためリスクが高いと言えます。

脊椎や脳の病気

脊椎や脳など運動を司る部分に病気が発生すると、足の麻痺などがおこって歩けなくことがあります。歩行に異常が出る病気には、腫瘍や変性性脊髄症、椎間板ヘルニアなどさまざまなものが挙げられます。椎間板ヘルニアは遺伝もリスク要因とされていて、ダックスフンド、コーギー、バセットハウンド、フレンチブルドッグ、ペキニーズ、ビーグル、シーズーなどの「軟骨異栄養性犬種」がかかりやすいと言えます。

貧血

貧血になると、体がふらついて正常に歩けなくなる、すぐに息切れして座り込むなどの症状が現れます。重度の貧血では、まぶたの裏や唇の裏、口の中の粘膜がピンクではなく白に近い色になります。貧血かもしれないと思った時は、これらの部位を確認してみましょう。

貧血には何らかの病気が潜んでいる可能性が高いです。また、玉ネギ、ネギ、ニンニク、ニラなどは犬に溶血性貧血をひきおこします。絶対に食べさせないように気をつけましょう。

耳の病気

耳の中には平衡感覚を調整するための前庭神経があります。これが障害されると犬は平衡感覚のバランスが取れず、まっすぐに歩けなくなり、ふらくようになります。前庭障害の原因としては、外耳炎などで感染が内耳にまで広がることや、抗生物質の副作用なども挙げられます。また、高齢の犬に多いのは原因不明の「突発性前庭障害」という病気です。

犬が歩けなくなったらどう対処すべきか?

犬が歩けなくなったらどう対処すべきか?

もし愛犬が歩けなくなったらどうすれば良いのでしょうか。ここでは飼い主様にできる対処方法をお伝えします。

動かないようケージに入れる

骨や関節に問題がある場合「ケージレスト」といってできるだけ犬が動かないように狭いケージで生活してもらいましょう。ケージの中にトイレやベッド、餌皿や水飲みなどを用意して、犬がそのスペースでのみ活動するようにするのです。狭くてかわいそうに思えるかもしれませんが、犬は痛みなどがあっても無理に動いてしまうこともあり、骨や関節に異常がある時はかえって悪化させてしまうため、まずは安静にしてもらうのが良いでしょう。

動物病院で検査する

歩けなくなる原因によって治療の方法が異なります。犬が歩けないことに気づいたらできるだけ早く動物病院で原因を見つけてもらいましょう。早い段階で治療につなげることが大切です。全く動けない、常に鳴いている、動くたびにキャン!と言うなど激しい痛みがありそうな場合や、意識がもうろうとしているなどの場合はすぐに動物病院に連絡して受診しましょう。

軽い運動やリハビリをする

歩けない原因が判明して、治療の段階になった場合、獣医師の指示があったらリハビリを行うこともあります。特に骨や関節の手術をしたあとなどはリハビリが重要です。間違ったリハビリを行うと悪化させる可能性があるため、リハビリをしていいかどうか、どのようなリハビリ方法が良いかなどは獣医師からしっかり説明を受けましょう。リハビリ科などのある動物病院などを利用するのもおすすめです。

筋力が低下したことによって歩けなくなっている時は、運動によって筋力を取り戻すことも大切です。すでに歩けなくなっている犬が自力で運動するのは難しいので、ハーネスなどを利用して飼い主様がサポートしながら行うと良いでしょう。

食事を変える

歩けなくなると運動を避けるため、消化管の動きが悪くなることもあります。排便の際の姿勢がとりづらくなることもあり、便秘になる可能性があります。そのような場合は食物繊維の多い食事に変更したり、水分をたくさん摂ってもらう工夫も必要です。腸内環境を整える作用のあるフードを使用したり、ウェットフードを混ぜたり、犬用のプロバイオティクスなどを利用するのも良いでしょう。

サプリメントをとる

関節痛が原因で歩けない場合、関節の軟骨を維持する栄養素である「グルコサミン」や「コンドロイチン」、「コラーゲン」などをサプリメントで補うと効果が期待できることもあります。これらの栄養素がひとまとめになった犬の関節用サプリメントなども市販されているため、動物病院で紹介してもらうのも良いでしょう。

犬が歩けなくなるのを防ぐためにやっておきたいこと

犬が歩けなくなるのを防ぐためにやっておきたいこと

ここまでは、犬が歩けなくなる原因や、歩けなくなった時の対処法をお伝えしました。しかし、愛犬が歩けなくなることはできる限り防ぎたいですね。ここでは歩けなくなることを予防するためにできることをお伝えします。

運動習慣をつける

筋力は運動によって発達するため、健康な時にしっかり運動習慣をつけることが大切です。運動は肥満の防止になり、ストレス解消にもなるため精神状態も安定するでしょう。運動としてお勧めなのはお外での散歩です。散歩時間の目安は犬種によっても異なりますが、小型犬では1日1回~2回30分前後、大型犬なら1日2回~3回、1時間前後が目安です。

ケガしにくい環境にする

室内犬の場合、想像以上に室内でのトラブルが多いです。特に小型犬は飼い主様の抱っこから落ちたり、ソファーなどから飛び下りる、カーペットなどに爪をひっかける、何かにぶつかるなどに注意が必要です。犬が部屋を走り回っても危険のない環境の整備が重要です。

定期的に健康診断を受ける

犬は言葉で不快や苦痛を伝えないため、異変に気づきにくいことがあります。いくら飼い主様が観察していてもわからないことも多いため、動物病院の健康診断で血液検査やレントゲン検査など、客観的なデータの異常がないかどうかを確認してもらうことが重要です。定期的な健康診断は、若い健康な時でも1年に1度は受けましょう。年齢を重ねたり、なんらかの持病がある場合は獣医師とも相談して半年に1度などのスパンで受けると安心です。

犬が健康に歩き続けられるように生活の見直しを

今回の記事では、犬が歩けなくなる原因や対処法、また歩けなくならないために飼い主様にできることをお伝えしました。年齢と共に筋力などが衰えることは仕方がないですが、肥満にさせない工夫や、関節などを痛めない生活環境への配慮などで、できる限り愛犬が健康に歩き続けられるような取り組みが大切です。日々の散歩は、飼い主様の健康にも良い効果をもたらすため、ぜひ取り入れてみてください。