愛犬が年齢を重ねるにつれ「どのような食事が愛犬の体に良いのかわからなくなってきた」と感じる飼い主様は多いのではないでしょうか。老犬にとって体に良い食材や必要な栄養素が知りたい方もいるでしょう。老犬には年齢や体調に合わせて栄養価が高い食べ物を摂ってもらうことが大切です。

今回の記事では、老犬に良い食べ物を具体的にご紹介し、老犬の食のポイントについてお伝えします。また、老犬が食べない時の対処法なども解説します。

【種類別】老犬に良い食べ物

【種類別】老犬に良い食べ物

老犬になると、体調を崩したり食欲が低下したりすることが少なくありません。ここでは健康維持効果が期待できる、犬の体に良い食べ物を具体的にご紹介します。それぞれの食べ物にどのような栄養素が含まれていて、どのような効果が期待できるのかもお伝えします。

鶏肉や牛肉

老犬にとって良質なタンパク質は最も重要な栄養素のひとつなので、肉類は適量であれば良い効果が期待できます。中でもささみや鶏胸肉はタンパク質が豊富なため、筋肉の維持効果が期待できます。脂肪が少ない点も嬉しいポイントですね。

牛肉にはL-カルニチンや鉄分、亜鉛、ビタミンB群など脳神経系に効果のある栄養素が含まれるため、認知症予防が期待できます。脂肪の少ない肉を選ぶと良いでしょう。

老犬に肉類を与えるときは、必ず加熱して骨は取り除き、小さくカットしてあげましょう。また、腎臓や肝臓に持病がある場合は控えた方が良いケースもあります。肉類にはアレルギーを持つ犬もいるため、初めて与える際には少量から試すことが大切です。

まぐろやさばなどの魚

魚類にはDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が多く含まれており、認知症予防効果が期待できます。特にまぐろやかつおなどの赤身魚や、さばやさんまなどの青魚は犬にもおすすめできる魚です。

犬に魚類を与えるときは、干物や煮干しなど塩分が高い加工品は避けましょう。また、生魚ではなく必ず加熱し、骨はきれいに取り除きます。アレルギーのある犬もいますので、初めて食べさせる際には少量から試すことが大切です。

さつまいもやかぼちゃなどの野菜

老犬は腸内環境が不安定になりやすく、下痢や便秘に悩まされることも多いかもしれません。さつまいもやかぼちゃなどは、食物繊維が豊富でお腹の調子を整えてくれるためおすすめです。ただし、比較的カロリーが高い食材なので、肥満防止のためにも少量にとどめることが大切です。生のままでは犬が消化できないため、必ず加熱して一口サイズに切ってあげましょう。

ヨーグルトや納豆などの発酵食品

人の腸内環境を整えることで知られているヨーグルトや納豆も、老犬に良い効果をもたらします。特に納豆は血液をサラサラにしてくれる効果や、カルシウムの吸収を助ける効果も期待できるうえ、タンパク質も豊富です。

注意点としては、ヨーグルトは無糖のものを少量にとどめることが大切です。納豆はタレや薬味を与えてはいけません。また、納豆は、薬の種類によっては効果を下げてしまうこともあります。持病がある老犬の場合は、動物病院で確認してから与えるようにしましょう。

サプリメントなどの栄養補助食品

老犬にとって必要な栄養素を効率的に摂取できる、サプリメントなどの補助食品の利用もおすすめです。特に老犬は「変形性関節症」などの関節炎を発症することも多いため、コンドロイチンやグルコサミンなどが配合されたサプリメントを運動療法やサポートグッズなどと一緒に取り入れると良いでしょう。サプリメント選びに迷った際は動物病院で相談しましょう。

犬用ミルクや甘酒などの飲み物

噛む力が衰える老犬にとって、液体での栄養摂取は効率的だと言えます。中でも犬用ミルクは栄養価が高いため、シニア犬用のものを選んで与えると良いでしょう。人用の甘酒も、栄養価が高く消化しやすいため与えることができますが、酒粕で作られたものにはアルコールが含まれるため注意が必要です。米麹で作られた製品を選ぶか、犬用の甘酒を与えましょう。

老犬の食事で心がけたい3つのポイント

老犬の食事で心がけたい3つのポイント

ここまで、老犬の体に良い食材を具体的にご紹介してきました。それぞれの食べ物についても注意点を書きましたが、老犬の場合は食事自体についても配慮が必要です。ここでは老犬の食事について心がけたい3つのポイントを詳しく解説します。

消化しやすいものを与える

老犬は歯が少なくなっていたり、噛むための筋力や飲み込む力が弱くなっていたりするため、食事はできるだけ消化しやすい形で与えることが大切です。ドライタイプのフードなど、固いものはふやかすと消化が良くなるうえ、水分も一緒に摂取できます。上でお伝えしたような肉類や魚類、野菜などは必ず加熱して、できるだけ細かく切る、ミキサーにかける、すりおろすなどの加工をすると良いでしょう。

食事回数を調整する

食事をするという行為自体もエネルギーが必要です。老犬になると一度に食べつづけられる時間は減り、食事量も減る傾向にあります。老犬の食事方法は「少量頻回」がおすすめです。無理に一度で多くの栄養を摂らせようとせず、様子を見ながら少しずつ食べさせるようにしましょう。今まで1日2回の食事だった犬でも老犬になると1日に3~4回程度に分ける必要があるかもしれません。

水分摂取をする

老犬になると、色々な感覚が鈍くなるため喉の渇きを感じづらくなります。筋力の低下などで動くことが億劫になることもあいまって、気づくと脱水していることも少なくありません。水飲みはできるだけ動かなくても良い場所に設置していつでも水を飲めるようにしましょう。

老犬が食べないときの対処法

老犬になると、消化機能や運動量の低下によって食欲にムラが出ることも珍しくありません。毎日同じ量を食べなくても心配はありませんが、食べない期間が続いた場合は対処が必要です。

温度や食感を変える

老犬は、嗅覚機能の低下によって食欲を感じにくくなることがあります。そのような時は、食べ物をあたためると香りが強くなり、犬の嗅覚を刺激する効果が期待できます。また、犬が大好きな食材を少量トッピングすることで、食事への興味をひかせる方法も良いでしょう。

犬によっては、食感を変えることで食べてくれるようになることもあります。野菜などを細かく刻んでフードに混ぜたり、犬用スープをかけて柔らかくしたり、色々な食感を試してみるのも効果的です。

マッサージや軽い散歩をする

体や脳への刺激が少ない生活では食事への意欲が湧かないことも多いです。マッサージや軽い散歩で体と脳を活性化させると良いでしょう。マッサージは血行を促し、飼い主様とのスキンシップの時間にもなるためリラックス効果があります。足腰が弱って自力で散歩するのが難しい場合は、ペット用バギーなどを利用して外の空気を感じるだけでも、効果が期待できます。

食事環境を整える

老犬は足腰や首の筋肉なども弱くなっているため、立ったまま下をむいて長時間の食事をすることができません。四つ足で踏ん張る力が衰えた時は、腰のあたりを飼い主様が支えてあげると食べやすいです。また、首を下げずに食べられるように食事台の高さを調節するなどのサポートをしてあげましょう。

食事の工夫で1日でも長生きを!

今回は老犬の体に良い食材や食事自体のポイント、食欲がなくなった老犬への対処法などをお伝えしました。犬にとっても1日のなかで食事は一番楽しみな時間のひとつです。「愛犬の食事量が落ちてきたな」と感じたときは、食欲自体が低下しているのか、食欲はあるけれど立ったまま食べる姿勢がつらくて食べるのをやめてしまっているのか、など状況を見極めることも大切です。愛犬の長生きのためにも今回の記事をぜひ参考にしてみてください。