世界最小の犬種として知られるチワワは、小さな体に大きな瞳が輝く魅力的な犬ですよね。最近チワワを飼い始めた方や、これからチワワをお迎えしたいという方の中には、あらかじめかかりやすい病気を把握しておきたいという方も多いでしょう。

チワワがかかりやすい病気には、水頭症、膝蓋骨脱臼、結膜炎・角膜炎、気管虚脱、低血糖症、尿路結石症、僧帽弁閉鎖不全症などが挙げられます。今回の記事ではこれらの病気に着目して解説し、予防するためのポイントもお伝えします。

チワワはどのような犬?

チワワはどのような犬?

チワワは世界最小の犬種として有名です。体高は12cm~20cm程度と非常に小柄で大きな瞳と三角形の耳を持ちます。被毛の種類はスムースコート(短毛)とロングコート(長毛)の2タイプで、毛色にはレッド系、クリーム系、ホワイト系をはじめとしてブラックタン、ブラックホワイトなど多くの種類があります。

性格は好奇心旺盛で賢く、体に見合わず勇敢な面もあります。家族以外には警戒心が強い子も多いと言われています。小型犬のなかでも比較的飼育がしやすいことでも人気の犬種です。

チワワがなりやすい病気

チワワにはいくつかのかかりやすい病気があることが知られています。ここではひとつひとつについて症状や予防法について解説します。

水頭症

脳脊髄液が過剰になり、脳を圧迫して脳の機能に障害が出る病気です。圧迫の場所や程度によって様々な症状が出ますが、頭蓋骨が変形して頭が膨らんで見えたり、痙攣発作などの神経症状、斜視などの視覚症状が出たりすることが多いと言えます。水頭症の発症には遺伝が関わっているとされ、チワワは好発種です。完治は難しく、薬の服用などで症状を和らげる治療が中心となりますが、残念ながら発症するとあまり長生きができない病気のひとつです。


膝蓋骨脱臼

膝のお皿の骨が外れる病気です。解剖学用語で膝蓋骨を示す言葉である「パテラ」と呼ばれることもあります。脱臼の程度でグレードの1~4に分かれ、グレード1ではほとんど症状がわかりません。グレード2以上になると、脱臼した足を地面につけなくなって3本足で歩くようになったり、膝が炎症して腫れたりすることもあります。チワワをはじめとした小型犬に多い病気のひとつです。

結膜炎や角膜炎

結膜炎や角膜炎は結膜や角膜が傷ついたり、細菌に感染したりして炎症する病気です。白目の部分が赤くなったり、黒目の部分が濁って見えたり、涙や目やにが多くなるなど目の中に異常があらわれます。痛みや眩しさのため、犬は目を閉じ気味になることもあります。チワワは目が大きく飛び出しているため、ゴミなどが入りやすく結膜炎や角膜炎になりやすい犬種です。散歩中の砂埃などに注意する必要があります。


気管虚脱

気管が潰れて息がしづらくなる病気です。初期では運動時や興奮した時に乾いた咳をする程度ですが、進行すると日常的に「ガチョウの鳴き声」と表現される特徴的なガーガーと鳴る呼吸をするようになります。治療は薬による対症療法がメインですが、外科的に気管を広げる手術が適用される場合もあります。発症原因は不明ですが、飼い主様にできる予防は気管に負担をかけない生活です。日頃から無駄吠えや肥満を防止しましょう。

低血糖症

血液中の糖分濃度が低下する病気です。元気がなくなり、失神や痙攣などの症状があらわれ、放置すると命を落とします。体が小さく血糖値をコントロールする肝臓の機能が未熟なチワワの子犬が発症しやすい病気です。チワワでも成犬では発症する可能性は低いため、もしも成犬で発症した場合は背後に膵臓などの病気が潜んでいる可能性もあります。

チワワの子犬をお迎えしたら、食事を小分けにして与えるなどで、空腹時間が短くなるように工夫しましょう。低血糖の症状が現れた場合、すぐに病院で点滴してもらう必要があります。


尿路結石症

膀胱、腎臓、尿管(膀胱と腎臓をつなぐ管)、尿道などに結石ができる病気です。結石の大きさや場所によって症状はさまざまですが、頻尿、血尿、排尿困難などの症状が一般的です。結石ができる場所によっては「尿路閉塞」という尿が全く出なくなる状態になることもあり、緊急の治療が必要になります。

結石が小さく数が少ない時は、尿と共に自然排出することもありますが、外科手術が必要になるケースもあります。適切な食事と運動、十分な水分、排尿をスムーズに行える環境などが予防につながります。

僧帽弁閉鎖不全症

心臓病のひとつで、心臓の中の左心室にある僧帽弁という弁が正常に開閉しなくなり、心臓内で血液が逆流する病気です。心臓のポンプ機能が弱くなるため、全身への血流が滞り様々な症状があらわれます。一般的には、進行するにつれ疲れやすく運動ができなくなる「運動不耐」があらわれ、咳をしたり胸や肺に水が溜まったりして死に至ります。発覚したらすぐに進行を遅らせるための投薬をはじめることがその後の生活の質に関わります。

チワワがなりやすい病気を予防するためのポイント

ここまで、チワワがかかりやすい病気について解説しました。ここでは病気を予防するために飼い主様が気をつけるべきポイントについてお伝えします。


瞳の状態をよく確認する

毎日チワワの瞳をしっかり観察しましょう。白目の部分、黒目の部分ともに発赤や濁りがないか、涙や目やにが過剰ではないかがポイントです。チワワは涙やけがしやすい犬種なので、目の周囲をぬるま湯で湿らせたコットンで拭くなどのケアも必要です。上でもお伝えしたように、チワワの大きな瞳にはゴミなどが入りやすく結膜炎や角膜炎を起こしやすいと言えます。お散歩のあとは犬用の目薬などで目を洗うのもおすすめです。

適切な体重管理

肥満は心臓や気管への負担が大きくなるだけでなく、骨が細いチワワにとっては足腰への負担も大きくなります。食事の回数や量に気をつけて肥満を防止しましょう。ペットショップなどでは「小型犬なので散歩は不要です。」と説明されるかもしれませんが、運動は欠かせません。お外で散歩することが難しい場合は、室内で体を動かせるグッズを取り入れるなどで運動を促しましょう。


ストレスの軽減

チワワはストレスに弱い犬種だと言われることがあります。飼い主様への忠誠心が強い一方で、留守番などが苦手な面もあり、ひとりにされたストレスが病気につながる可能性もあります。高齢になるにつれこの傾向が強くなるため、できるだけ若いうちから留守番の練習をすると良いでしょう。

また、チワワは小柄なため、高い位置から撫でられるなどは恐怖を感じることもあります。一緒に遊ぶときはできるだけ飼い主様自身もしゃがんで目線を合わせると良いでしょう。

定期検診

チワワがかかりやすい病気の中には、初期の段階では無症状で自覚症状もなく、飼い主様が気づかない病気もたくさんあります。定期的に健康診断を受けて、血液検査やレントゲン検査、エコー検査など客観的に健康状態を確認することが大切です。定期健診の目安としては、ワクチン接種などの際に併せて、全身の健康チェックをしてもらうと良いかもしれません。高齢犬である8歳程度になったら、なにもなくても半年に1回程度の定期健診を受けると安心です。

病気に気をつければチワワは良き伴侶となる

病気に気をつければチワワは良き伴侶となる

今回はチワワに着目し、かかりやすい病気や予防法についてお伝えしました。こうしてみると、チワワはたくさんの病気にかかりやすい犬種のように思えるかもしれません。確かに、小柄な体格や細い骨、大きな瞳など飼い主様の配慮が必要なポイントがたくさんあります。しかし、それ以上に愛らしい姿と飼い主様への愛情に溢れた性格で日々に彩りを与えてくれるでしょう。今回の記事もぜひ参考にして、チワワとの生活を楽しみましょう。