大切な愛猫も、いつかは年を重ね、老化します。猫も老化すると筋力の低下や視力・聴力などの衰えにより、自力での生活が難しくなると人間と同様に介護が必要になることもあります。介護生活の最期には、寝たきりの状態になることも考えられます。飼い主様としては、愛猫には最後まで幸せに生活してもらいたいですよね。この記事では、老猫の食事や排せつ、ベッドの整備や体のケアなどの介護について具体的にお伝えします。寝たきりの猫の介護方法いついても詳細に解説していきますので、是非参考にしてみてください。

猫の介護が必要な年齢

猫は人間よりも寿命が短く、人間と比較すると4倍ほど早く年を重ねていくと言われています。現代の猫の平均寿命は15~16歳ほどです。シニア期と呼ばれるのは、寿命の半分くらいの年齢からですので、一般的に7歳頃からが猫のシニア期です。シニア期でも、7歳~10歳くらいは人間で言うと40代~50代です。

老化による病気などは増えますが、介護が必要になることは滅多にありません。11歳以上になると、人間では60代くらいの年齢なので状況に応じて介護が必要になることもあるでしょう。シニア期に入り、色々な部分で衰えがみえてきても、必ずしもすぐに介護が必要なわけではありません。シニア期は長いので、自分で動けるあいだは筋力の維持やストレスの軽減のためにも、過度な介護はせずに見守り、必要な時に手を貸してあげるようにしましょう。

老猫の介護方法

老猫の介護には、食事や排せつ、体のケアなど様々なものがあります。各ケースごとに、介護方法を解説していきます。

老猫の食事での介護方法

老猫になると歯周病や口内炎、歯が抜けてしまうなどの口内トラブルが増え、ドライフードを食べられなくなる傾向があります。加齢で嗅覚が衰え、ドライフードを好まなくなることもあります。口内トラブルを抱えた老猫の場合、フードをお湯でふやかして与えてあげると水分補給にもなり一石二鳥です。市販のウェットフードもおすすめです。嗅覚が衰えた老猫は、フードを温めて臭いを強くさせることで食欲が戻ることもあります。

床に置いたお皿は老猫にとっては食べづらいため、食事台などを利用して首をかがめなくても食べられるようにしましょう。自力で食事をとれない時は、シリンジ(注射器の針ではない部分)に専用の流動食などを入れて食べさせる必要があります。一気に入れると誤嚥につながるため、飲み込んだことを確認しながらゆっくり給餌しましょう。動物病院で方法を指導してもらうのがおすすめです。

老猫のトイレでの介護方法

老猫は筋力低下により、トイレまでの移動がしづらくなります。ベッドなどの近くにトイレを設置しましょう。トイレを複数設置すると猫がいつでもトイレを利用できて失敗の頻度が減ります。トイレのへりが高いと猫がまたいで利用しなくてはなりません。へりが低いタイプに変えたりなだらかなスロープを取り付けて利用しやすくしましょう。トイレの失敗が増えてきた場合は市販のペット用のオムツを利用するのも良いでしょう。

老猫のベッド

老猫になると、寝ている時間が増えるため、ベッドにも気を使ってあげましょう。老猫は体の機能の衰えや抜け毛の増加により体温調節が苦手になります。エアコンを利用した室内の環境設定は必須ですが、ベッドはエアコンの風が直接当たらない場所に設置しましょう。

冬はペット用保温マットなどの活用もおすすめします。シーツやタオル類はこまめに洗濯し、ベッド自体も天日干しを行うと良いでしょう。猫は高いところを好みますが、老猫にとっては危険な場合もあるため、低い場所に下ろしましょう。ベッドへの出入りがしやすいように、段差をできるだけ少なくして、お気に入りの場所に移動しやすい環境に設置してあげましょう。

老猫の体のケア

猫は起きている時間の3割ほどを毛づくろいにあてていると言われるほどきれい好きな動物ですが、老猫になると自分で毛づくろいできなくなります。飼い主様が温かい濡れタオルなどで体を拭いてあげたり、こまめにブラッシングをしてあげる必要があります。シャワーは体への負担が大きいためおすすめしません。毛玉ができるとその下の皮膚にトラブルがおきる可能性があるため、特に長毛種の猫にはブラッシングも必要です。

お口のケアも大切です。口臭があまりに強い場合や、ご飯がたべづらそうな場合は歯周病や口内炎などの口内トラブルの可能性があります。動物病院への受診も視野にいれましょう。

寝たきりの猫の正しい対応

老化が進むと、足腰の筋力低下や何らかの病気によって起き上がれなくなり、寝たきりになることもあります。

寝たきりの猫のトイレ

寝たきりの猫は自力でトイレに行けないので、市販のペット用オムツの使用やペットシートを上手に活用しましょう。夜間や飼い主様が不在の間は、オムツを利用すると良いでしょう。猫によってはオムツへの抵抗が強い場合もあるため、慣れるまでゆっくり時間をかけてあげてください。オムツをし続けると、皮膚炎などの原因にもなるため、こまめな交換と換気が大切です。

猫のお尻の下にペットシートを敷いておくだけでもトイレとして活用できます。ペットシートはずれてしまうことも多いので、ガムテープなどで接着すると快適に利用できます。ペットシートがずれてしまって床を汚す心配がある時は、レジャーシートなどを一番下に敷いておくのもおすすめです。

寝たきりの猫のための環境づくり

寝たきりの猫は、生活の中心がベッドになります。食事や排泄など全てをベッドで行うため、清潔を保つためペットシーツを敷いてこまめに交換しましょう。猫は言葉で寒い・暑いなどの不快感や体調不良を訴えることができません。季節ごとに部屋の室温にも注意しましょう。寝たきりの猫はその場から動くことができません。大きな音がする場所など猫が落ち着かない環境ではストレスを感じ続けるため、ゆっくり休めるように心がけてあげましょう。

寝返りを手伝ってあげる

寝たきりの猫にとって、最も注意が必要なことのひとつが床ずれです。床ずれは、体の同じ場所が圧迫され続け、血流が悪くなることで発生します。血流が悪くなると、皮膚や皮下組織、筋肉などに酸素や栄養がいきわたらなくなるため、その部分が壊死(えし)してしまうのです。床ずれ防止のためには、定期的な寝返りが必要です。寝たきりの猫は自力で寝返りがうてないため、飼い主様のサポートが必要です。2~3時間おきに圧迫されている部分を変えてあげることが理想です。

特に、骨が出っ張っている部分に床ずれができやすいということを意識しましょう。低反発ベッドや床ずれ防止用マットなどの活用もおすすめです。小柄な猫の場合、人用のハニカム素材のクッションなども比較的低価格で入手できて便利です。床ずれは悪化させると治癒までにとても時間がかかります。初期症状は皮膚が赤くなったり、薄くなったりすることです。毎日こまめに体を観察し、異常がみられたらすぐに動物病院を受診することをおすすめします。

まとめ

体が思うように動けず、介護が必要になることは猫にとってもとてもつらいことです。猫は言葉で空腹を訴えたり、排泄の欲求を伝えることができません。飼い主様が愛猫の求めていることに気づいてあげる必要があるのです。飼い主様ひとりでは、できる介護に限界がある場合もあります。動物病院を受診し、アドバイスをもらいながら、愛猫が最期まで幸せに過ごせる環境を作っていきましょう。