犬が抱っこを嫌がるときは、どう対処したらよいのでしょうか。無理に抱っこをしようとすると、かえって抱っこを嫌いになることもあるため禁物です。

今回は、犬が抱っこを嫌がる理由や原因について解説します。抱っこが必要になるシーンは多くあるため、犬が安心できる正しい抱き方や、抱っこが苦手な犬の対処法などを知っておきましょう。

犬が抱っこを嫌がるのはなぜ?

犬が抱っこを嫌がるのには、理由があります。まずは、どのような場合に抱っこを嫌に思うのか、犬の気持ちを理解しましょう。

抱っこに慣れていない・苦手

犬は種類にもよりますが、一般的に飼い主から触られることを好みます。しかし、必ずしも抱っこが好きとは限りません。

例えば、社会化期といわれる生後1~3ヵ月頃の子犬のときにあまり抱かれていない子や、抱っこで怖い思いをしたことがある子は、抱っこに苦手意識を持っていることがあります。人に暴力を振るわれたことがある子も警戒心や恐怖心が強いため、触れられることすら苦手なケースもあるでしょう。

また、「抱っこされたら病院に連れていかれる」などのように、抱っこと嫌なことが結び付けられてしまうと、抱っこが苦手になってしまうことがあるため気を付けましょう。

抱っこの仕方が間違っている

間違った抱っこのやり方で体勢が不安定になっていたり、強く抱き締め過ぎたりしていると、犬は痛みや苦しさを感じるため抱っこを嫌がります。

特に、仰向けや脚が浮く抱き方は自由に身動きができないため、犬は恐怖を感じます。また、抱き上げるときに飼い主がうえから覆う角度になるのも、怖がる要因になるため注意しましょう。

病気やケガで痛みがある

病気やケガをしていて抱っこされると痛みが強くなるときにも、抱っこを嫌がるようになります。例えば、内臓疾患や椎間板ヘルニア、関節炎などを起こしている場合です。

今までは抱っこを喜んでいたのに、急に嫌がるようになったときは、病気やケガが隠れている可能性も考えなくてはなりません。獣医師に相談して、健康状態を確認しましょう。

犬に抱っこが必要な理由

犬に抱っこが必要な理由

犬が抱っこを嫌がるなら、無理にしなくても良いのではと考える方もいるでしょう。

しかし、犬を抱っこする目的は、飼い主とのスキンシップ だけではありません。犬に抱っこが必要な理由を、シーンと併せて解説します。

犬を危険から守るため

抱っこは、犬を危険から守るために必要です。

交通量の多い場所を移動する場合、そのまま歩かせていては人や車と接触してしまうリスクがあります。また、他の犬に出会ったときに、興奮して威嚇したり、喧嘩をしようとしてしまったりすることもあるでしょう。

このようなとき、犬を抱っこすれば危険やトラブルを避けられます。犬が怖がっているときも、抱っこをしてあげると安心して落ち着くでしょう。

移動のため

犬を移動させるときにも、抱っこが必要になることがあります。例えば、以下のようなシーンです。

  • 病院やサロンで犬を診察台やトリマー台に載せるとき
  • ケガをしていて歩かせられないとき
  • ペット入店可能な施設へ入店するとき

また、年を取って動けなくなり介護が必要になったときにも、抱っこで移動させなければなりません。そのため、抱っこが苦手な子も早いうちから慣れさせておくことが大切です。

犬が抱っこを嫌がらないようにするには?

犬が抱っこを嫌がらないようにするには?

犬が抱っこを嫌がらないようにするには、犬に不安を感じさせないことがポイントです。そのために飼い主ができることや、心がけておくべきことを紹介します。

正しい抱っこのやり方をマスターする

犬が抱っこに安心感を持てるよう、正しい抱っこのやり方をマスターしましょう。

犬は、正面からの抱っこは苦手なことがあるので、怖がる場合は横や後ろから抱っこします。

小型犬の場合は、前足の間に片方の手を入れてお腹を下から支え、もう片方の手でお尻を包むように抱っこしましょう。中型・大型犬は脇から片手を回して抱えるようにします。

このとき、背中に負担がかからないように腰と胴体の両方をしっかり支えて水平に抱いてください。体を密着させるように抱くと、体勢が安定します。

赤ちゃんを抱くときのように脇を持って抱きかかえる抱っこや、お尻だけで支えるような抱っこは、犬の体に大きく負担をかけるのでやってはいけません。特に胴長の犬種は腰を痛めやすいため、注意してください。

慣れるようにトレーニングをする

抱っこが苦手な犬には、トレーニングをして慣れさせましょう。リラックスできる環境で行なうことが大切です。

まずは、背中に触るところから始め、次は胸やお尻に手を当ててみるなど、段階を踏んでいきます。犬のストレスにならないよう、じっくりと進めてください。

また、抱っこが楽しいことだと犬に認識させることも大切です。トレーニングが一歩進んだらおやつなどのご褒美をあげる方法で、慣れさせるとよいでしょう。

なお、抱っこをして攻撃的になる場合には無理して続けず、トレーナーに相談しましょう。

嫌がるタイミングで抱っこをしない

犬が抱っこを嫌がっているときは、無理して抱っこをしてはいけません。抱っこが嫌なものとインプットされてしまうからです。

抱っこしても降りたそうにして落ち着きがないときや、嫌な素振りを見せるときは抱っこをやめておきましょう。食事やおもちゃに夢中になっているときや熟睡しているときに抱っこをするのも、抱っこに対して良い感情が生まれないため、好ましいタイミングではありません。

まとめ

犬を抱っこしなければならないシーンは、多くあります。犬が抱っこを嫌がるのは、抱っこが嫌なことと結び付いてしまっているからという理由が多いものです。

これまでの生育過程で抱っこが怖いと感じている子もいるため、正しいやり方で、抱っこに少しずつ慣れさせましょう。

今まで抱っこを好んでいた子が急に嫌がるようになった場合には、病気やケガが隠れていないか獣医師に相談をおすすめします。