「老犬のトイレ対策がわからない」「最近、愛犬がトイレに失敗する回数が増えた」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
年を重ねると体力や筋力など、衰える部分も多く、飼い主様のサポートが重要になります。老いによって体力が衰え、トイレが失敗するようになるケースは珍しくありません。
本記事では、老犬のトイレ回数やなぜ失敗が増えるのか、具体的なトイレ介助の方法や介助のおすすめグッズについて紹介します。
目次
老犬のトイレについて知るべきこと
犬やすべての動物にとって、うんちやおしっこなどの排泄は生きるうえでかかせない行動です。排泄行動は、若い時はほとんどの犬が何の問題もなくできますが、年を重ねると老化や病気の影響で、犬自身の力だけではできなくなることがあります。 愛犬に合わせたベストなサポートを一緒に探しましょう。
老犬のトイレ回数
犬の1日のトイレ回数は年齢によって変化します。子犬はトイレ回数が多く、成犬になると膀胱の成熟により回数が減るのが一般的です。しかし老犬になると加齢によって泌尿器官の機能が低下することで、トイレ回数が増えていきます。
老犬のトイレ回数は一般的に5~6回です。平均的なトイレ回数よりも多い場合や少ない場合は、病気が関係していることがあります。愛犬のトイレ回数を把握しておくようにしましょう。
トイレの失敗が増える
老犬になると身体機能の衰えによりトイレの失敗は多くなります。例えば以下のようなケースです。
- トイレに間に合わずにお漏らししてしまう
- トイレで踏ん張れずはみ出すなど汚してしまう
- トイレのときにお尻を汚してしまう
犬も人間と同じように年を取り、徐々に歩くスピードが遅くなったり走れなくなったりと衰えていきます。それによって膀胱の締りが悪くなってお漏らしをしたり、脚力の衰えから踏ん張りがきかずトイレを汚したり、トイレの失敗が増えてしまいます。
失敗を叱ってはいけない
いままでできていないものができなくなると、叱りたくなってしまうこともあるでしょう。ですがトイレの失敗の原因が老化だとわかったら、叱ってはいけません。
老化は誰にでも訪れるもので、悪意はありません。飼い主様が叱ることで愛犬が委縮してしまい、ますますトイレを失敗する悪循環につながってしまいます。
まずは失敗する理由を知り、冷静に対処していきましょう。トイレに失敗する原因を取り除いていけばきちんとトイレができるようになります。
老犬がトイレに失敗するわけ
加齢により、トイレに失敗するのは珍しいことではありません。いままで、できていたことができなくなると、なぜ?と不安に思うかもしれませんが、原因を知り正しく対処していきましょう。
体力が衰えトイレにたどり着けない
1番大きな原因は体力の衰えによるものです。
足腰の力が衰えると、トイレの場所までたどり着けない、段差を越えられないことにより粗相をしてしまうことがあります。また膀胱の出入り口にある筋肉の衰えにより、おしっこを貯めておけずにお漏らしすることもあるでしょう。
病気のせいで上手にトイレできない
老犬になると様々な病気にかかりやすくなります。
病気によって、トイレを失敗することもあるのでいつもと違うな、と感じたら動物病院の受診を検討しましょう。トイレを失敗する可能性のある病気は、腎臓や膀胱の異常や糖尿病が考えられます。
考えられる主な病気とよくある症状は以下です。
- ホルモン反応性尿失禁:睡眠中などの意識がないときに尿漏れする
- 膀胱炎:トイレ回数が増加、トイレに行ってもおしっこが出ない
- 尿路結石症:トイレ回数が増加、トイレに行ってもおしっこが出ない
- 副腎皮質機能亢進症:お漏らしする、尿量が増加する
不安やストレスを感じている
老化により起こるのは、体力や筋力の衰えだけではありません。例えば、目が見えにくくなることや身体が思うように動かないことにより、不安やストレスを感じやすくなり、飼い主様の留守中にトイレを失敗するようになります。
若いときよりも愛犬の側にいる時間を増やし、寂しさを紛らわせてあげることが重要です。
老犬がトイレしやすい環境を作る
年を取ると筋力の衰えと共に排泄の姿勢が保てなくなり、ふらつくなどの問題が出てきます。犬は一般的に前足よりも後ろ足にやや体重がかかる状態になっているので、ふらつきがみられたら介助してあげましょう。
飼い主様がお尻あたりを支え、後肢への負荷を軽減させてあげるのが効果的です。大型犬の場合は人の力で支えるのが難しい場合もあるため、専用のハーネルを利用すると排泄時の姿勢が安定しトイレがしやすくなります。
トイレの環境を整える
愛犬がトイレの途中でふらついたりして、おしっこが飛び散ることがあります。周囲に広めにペットシートを敷いておきましょう。
飼い主様にもかかることがあるので、汚れても良い服装で介助を行ってください。水でさっと流せる薄手のウィンドブレーカーなどがおすすめです。
トイレの場所を増やす・変える
筋力が低下すると段差を越えるのも一苦労です。もし普段いる場所からトイレまでに段差がある場合は、段差のない位置にトイレを移動するとトイレの失敗が減るかもしれません。
愛犬のトイレパターンが決まっている場合は、トイレの数を増やすことも効果的です。トイレを食事場や水飲み場の近くに置く、行動範囲が広い場合はトイレの数を増やして行きやすくこともおすすめです。
トイレのタイミングを把握する
多くの犬は、ある程度トイレのタイミングが決まっています。タイミングを把握すると介助がしやすいので、愛犬のトイレのタイミングを見つけましょう。
愛犬用の日誌をつけるのも良いアイデアです。日誌に、排泄時間・うんちやおしっこの量や色、便の形状などを記載しておくと良いでしょう。
可能であれば、体重や食欲、活動量、普段と様子が違うことなども記載しておくと、病気の早期発見などの健康管理に有効です。
老犬のトイレを促す方法
トイレの介助には、大きく分けて
- トイレ自体は自分でできる犬に「トイレを促す」
- トイレそのものが自力でできない犬に「トイレさせる」
の2種類があります。
トイレが自分でできる場合
愛犬が自力でトイレできるにも関わらずトイレしない場合は、飼い主様が外的刺激を与えてあげてトイレを促してあげましょう。トイレそのものは本人に任せます。
落ち着かない様子をみせるなどトイレしたそうな時や、把握していたトイレのタイミングになったら、トイレやペットシートを敷いた環境に連れて行きます。この時、やさしく声かけをしてあげましょう。
支え方は犬によって前から支える方が良い場合と、後ろから支える方が良い場合があります。概ね、小・中型犬は前から、大型犬は後ろから支えるとバランスを取りやすいことが多いです。
男の子のおしっこは、前、または後ろから股の間に手を入れ、太ももの付け根あたりを内側から支えます。女の子のおしっこや、うんちの場合は、外側から足の付け根の胴体部分を左右で支えます。
トイレが自分でできない場合
トイレが自力でできない愛犬には、トイレ自体をサポートしてあげる必要があります。おしっこは、「圧迫排尿」という方法で行います。「圧迫排尿」は膀胱を人の手で物理的に押し排尿をさせる方法です。
犬の膀胱はおへそよりさらに下側に位置します。皮膚の上から膨らんだ膀胱を確認できたら、両手で挟みお尻側に押します。「圧迫排尿」は無理に行うと膀胱破裂につながり危険です。はじめは動物病院でやり方を教えてもらいましょう。
うんちの場合は、肛門を刺激すると腸が動き、うんちが肛門近くまで押し出されます。肛門は、暖かいお湯で湿らせたガーゼや綿棒、人の指などで刺激しましょう。肛門を刺激できると、比較的すぐにうんちが肛門付近に下りてきて、肛門が盛り上がります。そのタイミングで肛門をぎゅっと押すと便が出てきます。
出ない時は、ビニール手袋をして、指にワセリンやオリーブオイルなどの潤滑油を塗りそっとかきだしてあげましょう。うんちの場合も、刺激の方法などを動物病院で教えてもらうことをおすすめします。
トイレができたら褒めてあげる
トイレができたら、褒めてご褒美をあげることも大切です。愛犬にとってトイレが楽しい時間になるように心がけましょう。トイレ後に思い切り褒めることで、トイレをしても良いと理解してくれるようになります。
恥ずかしがらずに大げさに褒めることで、愛犬のトイレに対するモチベーションも高くなります。
トイレ後お尻が汚れてしまう場合は、赤ちゃん用のお尻ふきシートやお湯で濡らしたガーゼなどで優しく拭きとり、清潔さを保つことも大切です。
老犬のトイレのお悩み解決方法
愛犬が自分の意志で排泄をするつもりでも、筋力の衰えで歩行スピードが落ち、トイレに間に合わないことなどが原因でお漏らしをしてしまうこともあります。お漏らしをするようになったら、おむつやペットシートなどのグッズも取り入れると良いでしょう。
おむつを使う
夜間や外出時など、飼い主様が介助できない時間などはおむつを活用するのがおすすめです。おむつを使用しはじめる時、犬が違和感を感じ嫌がる可能性があります。はじめから長時間つけようとせず、短時間から慣らしましょう。
おむつをつけている間だけ、特別なおやつをあげるなども良いでしょう。サイズや素材選びにも気をつけ、できるだけストレスのないおむつを探してあげます。
あまりに嫌がり、おむつをすることで反対に一切トイレをしなくなってしまう場合は、動物病院で上手な利用方法を相談してみることをおすすめします。おむつは皮膚炎などの原因にもなりやすので、長時間履かせ続けるのはおすすめしません。
ペットシートを使う
愛犬が自力で動けなくなると、トイレも自分のタイミングでできなくなっていることが多いです。いつトイレしても良いように、お尻や陰部のあたりにペットシートを敷いてベッドなどが汚れないようにしておきましょう。ペットシートの利点は、おむつよりコストが安い点です。ペットシートもこまめに交換して周囲を清潔に保ちます。
自力で動けない犬の場合、床ずれなどの心配もあるため、床ずれ予防マットなどをペットシートの下に敷いておきましょう。カバーやマット自体が洗えるものを選ぶことをおすすめします。人用のハニカム構造のゲルクッションなども比較的安価で入手できるため利用しやすいでしょう。
トイレをサークルで囲う
加齢により視力が衰えることで、トイレの場所がわからなくなってしまうことがあります。それを解決するのがトイレ用サークルです。トイレ用サークルがあればトイレに迷わずにたどり着けるようになるでしょう。トイレシートからはみ出して排泄することも防げるので、床が汚れるのも防げます。
サークルの大きさは大きすぎても小さすぎてもいけません。愛犬のサイズに合わせてサークルを作りましょう。
もしもサークルを怖がる場合は、サークルを遠くから見せる、匂いをかがせるなど徐々に慣れさせて行く必要があります。サークルに恐怖を感じさせないように注意しましょう。
トイレの失敗原因を知り適切に対処しましょう
犬との生活の中で愛犬が年を重ね、自力でのトイレができなくなることもあります。加齢による衰えは、犬本人にもストレスになるものです。飼い主様が叱ったり悲しい顔をしたりすると、さらに追い打ちをかけることになります。飼い主様自身が気持ちを楽に持ち、ストレスなく介護生活を楽しめるように考えましょう。
動物病院とも上手に連携し、心配なことやわからないことがあれば相談にのってもらうと良いでしょう。
大好きなペットにはいつまでも元気でいてほしいですが、いつか必ずお別れの時がやってきます。いざその時が来ると、急な悲しみで冷静な判断ができなくなることもあります。
そのため、ペットが元気なうちから、ペットの看取りや葬儀などをどうするのかを考えておくことで、後悔のない最期の時を過ごすことができます。また、悔いなくきちんとペットとお別れをすることは、その後のペットロスの緩和にも繋がります。
COCOペットでは、生前の終活についてのご相談も承っております。些細なご質問でも、お気軽にご相談ください。