愛猫が高齢になるにつれ、トイレに行くことが大変だったり、間に合わずに若い時にはしなかった失敗をしてしまうこともありますよね。猫はもともと独立心の強い動物なので、高齢になっても自力で排泄することやご飯を食べることを望みます。しかし、どうしても高齢になると介護が必要になってきます。今回は、高齢猫にどのような介護やサポートをすればよいかを具体的に紹介します!

どうして猫のトイレが間に合わなくなってしまうのか

高齢猫になると、トイレに自分で行くつもりでも間に合わずに粗相してしまうことが増えます。その理由は人間と一緒で、猫も年を取ると足腰が弱くなるため、思っているようなスピードで歩けないことが多いからです。猫自身が思うように動けなくなると、トイレに行くこと自体が億劫になってしまい、違う場所で排泄してしまうこともあります。高齢になると尿路系やホルモン異常などの疾患も増えるため、排泄をコントロールできなくなり、トイレが間に合わなくなってしまうこともあります。

猫ちゃんのトイレの環境を見直してみる

高齢猫が排泄を失敗した場合、飼い主様は叱るのではなく、まずはトイレに問題がないか考えてみましょう。トイレのフチの高さは高齢猫の体に負担をかけていませんか?トイレの位置は老猫にも間に合いそうな場所にありますか?一度見直してみると良いでしょう。

トイレの段差をなくす

トイレのフチが高いと、高齢猫がまたげず入れなかったり、またぐことが辛くて避けるようになります。フチの高いトイレの場合、スロープを付けたり、畳んだタオルなどを利用して階段にするなどの工夫で段差を小さくしましょう。トイレ自体をフチの低いものに変えるのも良いでしょう。猫は新しいものを嫌う傾向があるため、慣れるまでは古いものとの併用がおすすめです。猫のいる場所からトイレまでの通路も、高齢猫は視力も衰えていることが多いため、物にぶつからないように整頓が必要です。フローリングなどに滑り止めを敷いて歩きやすくする工夫も大切です。

ペットシーツでトイレの代用をする

小さな段差でもまたぎにくいようであれば、トイレではなくペットシーツの利用が便利です。ペットシーツの上にいつも使っている猫砂を敷いてあげると慣れるのが早いでしょう。猫はトイレのあと、砂をかけることが多いので、部屋に猫砂が散ってしまうことがあります。ペットシーツの周囲に段ボールなどで覆いを作っておくことで猫砂の飛び散る範囲が狭められます。小さなほうきとちりとりはこまめな猫砂の回収に便利です。猫砂がなくても排泄してくれるようなら、ペットシーツのみにしても良いでしょう。この時、ペットシーツの下に1枚タオルなどを敷いておくと、排泄時に猫の足が汚れてもタオルで吸収できて部屋が汚れるのを防げます。

トイレを何カ所か設置する

トイレは一ヵ所と決めず、複数個所にあると猫が尿意や便意を感じた時に、一番近くのトイレに行けます。まずはベッドのそばにひとつ置き、その他愛猫のお気に入りの場所のいくつかにも設置すると良いでしょう。

ペット用の「おむつ」を使ってみる

粗相が増えてきたり、認知症などで排泄のコントロールができないなどの場合は、ペット用のおむつを着用するという選択も考えられます。嫌がる猫も多いため最終手段にはなりますが、上手に利用すれば猫と飼い主様双方のストレスを軽減できます。

ペット用おむつは合ったものを

ペット用のおむつには、サイズや素材、ギャザーの位置などにいろいろな種類があります。おしっこをすると色が変わるなど便利機能の付いたものもあります。愛猫の体型、体重、胴回りなどをきちんと測り適切なサイズを選択しましょう。ペット用のおむつは比較的高価なので、人間の赤ちゃん用のおむつの新生児用なども利用できます。人間の赤ちゃん用を使う場合は、尻尾の位置に十字で切り込みをいれて尻尾を出しましょう。おむつは惜しまずこまめに交換することが大切なので、予算の範囲内で適切なものを選択しましょう。

お尻まわりを清潔に

おむつは便利な一方、皮膚のかぶれなどのトラブルの原因にもなります。頻繁に交換し、通気性も確保しましょう。交換の際には、お尻まわりを清潔にすることも大切です。ウェットティッシュや濡れタオルなどで毎回きれいに拭き、仕上げに乾いたタオルで拭くことが大切です。少しでも水分が付着した状態で再びおむつを履かせると、内部で蒸れてしまい皮膚トラブルの原因になります。必ず乾燥した状態を確認してからおむつを履かせましょう。

トイレを介護する

高齢猫が、足腰が弱るなどでうまく排泄ができない場合は、体を支えてあげるなどの介護が必要です。

体を支えてトイレを介助

猫はきれい好きなので、ベッドで排泄することを好みません。自力で動けなくなっても、尿意や便意を感じたら、動こうとしたりそわそわとしてトイレのサインを出してくれることが多いです。そのタイミングで飼い主様が抱っこしてトイレに連れて行くと良いでしょう。

足腰が弱くなると、自力で踏ん張ることができないことも多いです。飼い主様が猫の腰付近を両手で支えてあげると力が入りやすくなります。「えらいね」「がんばったね」などの優しい声かけも猫を安心させるため大切です。

食事を工夫して排泄しやすいように

高齢になると、消化器官などの機能の衰えるため、排泄自体がしにくくなります。食物繊維の多いフードを選びましょう。フードをふやかしてなるべく水分を摂るような工夫も大切です。フードにティースプーン半分ほど、オリーブオイルをかけるのも有効です。オリーブオイルは排便を促す効果があります。同じく、亜麻仁油やエゴマ油なども良いでしょう。油は過剰に摂取すると胃腸に負担をかけます。ほんの数滴で十分です。

マッサージも有効

排泄を促すためのお腹のマッサージも良いでしょう。マッサージは飼い主様自身の手を温めて、ゆっくりお腹に「の」の字を書くようなイメージで行います。食事の直後は避け、排泄のタイミングで行いましょう。

圧迫排尿

自分で排尿のできない老猫の場合、飼い主様が体の外から膀胱を手で圧迫して排尿させる方法もあります。膀胱は、おへそより下側で、太ももに近い部分にあります。尿が溜まっていると膨らんでいるため、多くの場合は触ってわかります。圧迫排尿は、膀胱の位置がわからずに闇雲に押すと、内蔵を傷つけてしまったり、強く圧迫しすぎると膀胱破裂につながる恐れがあります。初めは必ず動物病院で指導を受け、確実に膀胱の位置がわかるようになってから行いましょう。

トイレをサポートして愛猫も飼い主さんも快適な生活を送りましょう

自力で排泄できなくても、介助下で排泄できたら「オシッコ出てよかったね」、「すっきりして気持ちいいね」など、排泄ができたことを一緒に喜びましょう。飼い主様の嬉しそうな顔や声で愛猫も活力を取り戻します。 トイレの失敗は、老化だけでなく色々な疾患が隠れている場合もあります。はじめから老化だと決めつけず動物病院に相談しておくと安心です。トイレなどの介護をしていくと、若いころとはまた違う老猫ならでは可愛さに気づくこともあるでしょう。残された猫との日々を大切に、愛猫も飼い主様も快適な生活を送れるよう介護を工夫しましょう。