猫に介護が必要になり、おむつの利用を検討している飼い主様は多いのではないでしょうか。

飼い主様のなかには、おむつの選び方がわからなかったり、猫がおむつを嫌がって悩んでいる方もいるかもしれません。猫におむつを使用する場合、正しいサイズ選びや不快感のない着用方法が大切です。

今回は、猫におむつが必要になる場合を解説し、おむつの選び方、猫がおむつを嫌がるときの対処法をご紹介します。おむつかぶれの予防方法もご紹介するので是非参考にしてみてください。

猫に介護用おむつが必要になるのはどんなとき?

うちの子には関係がないと思っていても、どんな猫でもおむつが必要になる可能性はゼロではありません。ここでは、猫におむつが必要になる場合について解説します。

老猫で粗相をする・寝たきりのとき

高齢になると、足腰の筋力が衰えます。そのため、トイレのフチが跨げなくなってトイレで排泄できなくなったり、居場所からトイレまでの移動が間に合わなくなったりすることがあるでしょう。

排泄に関わる膀胱や肛門の筋力も低下することで排泄のコントロールができずに、本人の意思に反して粗相することもあります。高齢猫の場合は寝たきりになっておむつが必要になる場合も考えられます。

ケガや病気で排泄のサポートが必要なとき

膀胱炎、尿結石、腎不全などの下部尿路疾患では、尿漏れがおきることがあります。また、糖尿病などで尿漏れがおきる可能性もあるでしょう。

関節炎など足腰の問題でトイレに行くのが困難になるケースも考えられます。事故などの外傷やなんらかの手術後など、動けない場合も排泄サポートが必要です。

認知症のとき

猫の高齢化に伴い、認知症の高齢猫も増加傾向にあります。認知症になると、トイレの場所が分からなくなって粗相が増え、排泄のコントロールが難しくなります。

飼い主様が定期的にトイレに連れて行き対応できることもありますが、おむつをした方が、お世話をしやすくなるケースは多いです。

猫の介護で使うおむつのメリット・デメリット

猫の介護で使うおむつのメリット・デメリット

猫用のおむつを使うことでどんなメリットがあるのでしょうか。デメリットも併せて紹介します。

猫用介護おむつのメリット

猫におむつをつけるメリットは以下です。

  • 粗相を防げる
  • 猫の体が汚れない
  • トイレの片づけが簡単
  • 病院など外出時にも安心

高齢になると思うように体が動かせず、粗相をしてしまうことはよくあります。

そんなときおむつをしていれば、部屋が汚れるのを防げるので安心です。病気やけがのときは、トイレをするのも体に負担がかかります。おむつをすることで負担が軽減されるでしょう。

猫用介護おむつのデメリット

猫におむつをつけるデメリットは以下です。

  • 猫が嫌がることがある
  • おむつかぶれを起こす可能性がある
  • コストがかかる

猫用のおむつは人用のおむつに比べて価格が高いので、1日に何回も取り換えるとコストがかかります。また、おむつをつけ続けていると、皮膚がむれておむつかぶれの原因になります。常にお尻まわりに清潔に保つ対策が必要です。

紙おむつと布おむつの違い

猫用のおむつには、大きく分けて紙おむつと布おむつの2種類が存在します。それぞれの特徴を知り、どちらを使用するか検討しましょう。

紙おむつは片付けが簡単

紙おむつは使い捨てができるので、後片付けが簡単です。布おむつに比べて吸収量も多いので、頻尿の犬や寝たきりの犬の介護では紙おむつの方が安心して使えます。ただし、値段が高くコストがかさむこと、買いに行く手間があることがデメリットです。

布おむつは費用が抑えられる

布おむつは洗って繰り返し使えるため、費用を抑えられるのが1番の魅力です。また、紙おむつのシンプルな白とは異なり、カラフルなデザインが多いので着せ替えのように楽しめるメリットもあります。

デメリットとしては毎回手洗いをする必要があり手間がかかること、紙おむつよりも吸収力が劣り頻繁に交換する必要があることが挙げられます。

猫の介護用おむつの選び方

市販のペット用おむつには色々な種類がありますね。ここでは、介護用おむつが必要になった場合に、どのような基準で選べば良いのかを解説します。

サイズがフィットするもの

一番大切なのはサイズです。サイズが合っていないと、排泄物が漏れたり、本人の不快感の原因にもなります。一般的なペット用おむつは、犬猫兼用のものが多いため、猫には大きすぎることもあるでしょう。

サイズはまず胴回りを目安に考え、尻尾周りのフィット感や、胴の部分にゴムが食い込まないかどうかを確認してください。最初はお試しサイズなど少量で購入すると良いでしょう。

マナーウェアは目的が異なるので注意

おむつとよく似た商品に「マナーウェア」というものがあります。これは、犬猫のマーキングを防止し、交尾をさせないようにする目的のものです。介護の場合は介護用のおむつを使用しましょう。

香りがない・少ないもの

香料を使用した香り付きのおむつは、嗅覚の鋭い猫にとっては不快でストレスになることもあります。おむつには消臭機能がついているので、臭いが気になる場合も香りつきの商品を選ぶ必要はありません。

犬用を使うときは女の子用にする

猫専用のおむつは種類が少ないため、簡単に入手できないことも多いでしょう。犬猫兼用や犬用の商品を使うことができますが、犬専用の商品はオス用メス用で形やサイズが異なります。

猫に使用する場合は女の子用を選ぶと良いでしょう。男の子用を使用すると排泄物が漏れることがあります。

おしっこを知らせる表示があると便利

おむつが排泄物を吸収できる容量には限度があります。容量オーバーになると漏れてしまいますし、ほとんどの猫は、排泄したおむつをそのまま使用し続けることを好みません。

おむつにおしっこを知らせるサインがある商品は、取り替えるタイミングが分かりやすいため便利です。排泄後、すぐに取り換えることができて、漏れの防止や猫の不快感の軽減につながるでしょう。

介護が必要な猫がおむつを嫌がるときの対処法

猫は自分の体をこまめにグルーミングする動物です。体を覆う洋服やおむつは嫌がるのが普通です。しかし、介護生活の中ではおむつを使用しなくてはならないこともあるでしょう。ここでは、おむつを嫌がる猫への対処法をご紹介します。

サイズを調整する

サイズ選びは最も重要です。ウエストの周囲がきつすぎるおむつや、足の可動域が狭まってしまうようなサイズのおむつは猫がとても嫌がります。反対に、大きすぎるおむつでは排泄物が漏れたり擦れるなどのストレスにつながります。

規制の商品でぴったり合うサイズが見つからない場合、飼い主様がひと手間加えてあげましょう。例えば、人の赤ちゃん用のおむつなら、しっぽの用の穴を空けるとちょうど良く使えることがあります。ペット用のおむつよりも安価に購入することも可能です。

付け方に気をつける

おむつの着用時に痛みや不快感があると、おむつに対するストレスも大きくなり、着用を激しく嫌がるようになります。足腰など体のどこかに痛みがある場合、できる限り負担にならないような付け方を心がけましょう。

尻尾を引っ張るのも骨や神経を痛める可能性があるためNGです。猫の体の状態によって、ふさわしい付け方が異なることも多いので、猫に一番負担のない着用方法を獣医師に相談するのもおすすめです。

装着感の違ういくつかの製品を試す

おむつはメーカーにより若干サイズや装着感が異なるため、猫が嫌がる場合はいくつかの製品で試してみましょう。動物病院やペットショップでサンプル品がないか聞いてみるのもいいかもしれません。

また、おむつを初めて使う際は初めから長時間の使用はせず、ごく短時間から慣らすなどの工夫も大切です。

外してしまう場合はおむつカバーを

猫がおむつを自分で外してしまう場合は、ロンパースタイプなどのおむつカバーを利用することも有効です。おむつの上から洋服を着せる感覚で重ねると、おむつがずれないため、不快感が減ります。

猫のおむつかぶれを防ぐには?

長時間おむつを付け続けると、皮膚の発赤やただれなど「おむつかぶれ」の症状が出ることがあります。おむつかぶれは猫にとっても大きなストレスになるため、ならないような工夫しましょう。ここではおむつかぶれを防ぐ方法をご紹介します。

おむつをこまめに取り替える

皮膚が排泄物に長時間接触していると、おむつかぶれの原因になります。排泄に気づいたらおむつはすぐに交換しましょう。また、おむつの着用時間はできるだけ短時間がおすすめです。飼い主様が排泄を介護できる間はできるだけおむつは外しておきましょう。

交換時にはお尻回りを拭く

お尻の汚れはおむつかぶれの原因になります。おむつの交換時には必ずお尻周りを清潔にしましょう。お尻周りを拭く時は、ウェットシートや濡れタオルなどを活用し、こすらないようにやさしく拭きます。冷たいシートや濡れタオルは猫の体に負担をかけるため、温めてから使用しましょう。

シャンプーができない猫でも、1日1回程度お尻周りのみをぬるま湯で洗うのも効果的です。お尻周りが湿っている間におむつを着用させると、おむつかぶれの原因になります。おむつの着用は、周囲が完全に乾いてからにしましょう。

長毛の子はお尻まわりの毛をカットしておく

長毛種の猫は毛に排泄物の汚れがつきやすく、おむつかぶれにもなりやすいです。お尻まわりの被毛をカットするとおむつかぶれを防ぐことができます。

皮膚の発赤や異常を発見したらすぐに動物病院へ

飼い主様の中には、多少の皮膚の発赤などであれば様子をみれば大丈夫だと思う方もいます。しかし、おむつかぶれはあっという間に進行し、重症化すると治りにくくなります。

おむつかぬれの初期症状は、皮膚のわずかな発赤程度です。おむつの交換時には必ず皮膚の状態を確認し、少しでも異常がみられた場合、すぐに動物病院を受診するのがおすすめです。

おむつを上手に利用して愛猫と快適に過ごす

猫の介護の中でも、排泄の問題は本人にとっても飼い主様にとってもストレスの大きなものです。おむつを上手に利用することで、ストレスを軽減することができます。

飼い主様の中には、可愛いデザインのおむつを選んだり、自身でイラストを描くなどして介護生活を楽しんでいる方も多いです。飼い主様がリラックスして猫との生活を楽しむことが、猫自身の安心にもつながり、残された時間をより良いものにするでしょう。